Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    Rinne_rinoto

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    Rinne_rinoto

    ☆quiet follow

    GODARCAげんみ✖
    導入後の様子

    担当地区に戻ると、緊張した面持ちの隊員が真っ直ぐに駆け寄ってきた。彼はいつも僕の言葉を届けてくれる、信頼できる存在だ。普段はよく通る声で話しかけてくるが、今はその声にわずかな震えが混じっている。

    「ハル隊長、太陽が……」
    「うん、わかってる」

    僕は短く返事をしながら、廊下を進む。目的地は雑務を行う部屋。腰を据えて話す時間すら惜しい。未熟な自分には、誰よりも多くの時間をかけて考える必要がある。

    「200名の隊員の確認と招集を頼む」
    「……承知しました」

    彼は一瞬の迷いもなく名簿を手に取り、足早に部屋を出て行った。その背中を見送りながら、僕は地図を広げる。紙に描かれた国全体の情勢が目に飛び込んでくる。

    「ここがこうなって……この場合、僕はこう動いて……」

    脳内で何度もシミュレーションを繰り返す。しかし、どれだけ考えても答えが足りない気がする。たった17年しか生きていない僕の頭で、200名の隊員の命、そして共に戦うアルカナの仲間たちを守るには、どうすればいいのか。

    家族を失い、親族と呼べる者もいない僕にとって、この場所は唯一の“家”だった。守らなければならない理由が、ここにはある。

    「人類の存続のため、みんなのために、そして僕自身のために……盾として、みんなを守らせてくれ」

    呟いたその時、足音が近づき、招集と伝達を終えた隊員が戻ってきた。

    「隊長、全員集まりました」
    「わかった。……いつも君に頼ってばかりで申し訳ない。……僕の言葉を、みんなに届けてくれ」

    隊員は力強く頷き、僕もその姿を見て静かに頷く。

    廊下の向こうには、集まった隊員たちが待っている。その一人ひとりの顔が浮かぶ。希望、不安、覚悟――それぞれの思いが混ざり合う中で、僕がしなければならないことは一つだ。

    彼らに伝えるのだ。
    僕は節制。この国の盾であることを――。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator