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    comeco

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    銃三が主。たまにさまさぶ、帝独、D4

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    【帝独】暑い日のはなし。帝統視点。

    #帝独
    emperorAlone

    これから暑い日はここに来よう あづい。
     どこにいても暑い。
     
     涼みにパチ屋に行ったけど種銭なくなってすぐに出る羽目になった。
     いつもの夏なら公園に行けばその辺の野良猫が涼しいところを教えてくれる(勝手に猫のいる所に行くだけ)のにどういうわけか猫すら見かけない。
     
     暑すぎんだよな。よし、乱数のとこ行こう。
     
     駅の方に向かって歩く。流石にコートは脱いで手に持つ。半袖になって少しはマシになるかと思いきや黒いTシャツは熱を吸収して体感としては大して変わらない。ジリジリと太陽が照りつける。それでも乱数の事務所はクーラーガンガンで冷え冷えのはずだ。上手くいきゃ菓子もたんまり食える。期待値は上がる。
     
    「はあ⁈」
     
     思わず大声が出る。鍵が閉まっている。何度ガチャガチャやっても開かない。いないなら仕方ない。ここから結構歩くけど幻太郎の家に行くかと気を取り直す。
     
     炎天下の中歩いて向かった。呼び鈴を押せば
    「はい。」
     と家主が出てくる……が憔悴しきっていて人相が悪い。
    「よお!」
    「…………」
     何も言わずに戸を閉められる。閉め出されるとこっちも命の危険に晒されるから慌てて扉をこじ開ける。
    「……なんですか。」
    「あのよ、涼ませてくんね?」
    「…………静かにしててくださいね。」
    「おう……メシは?」
    「は?」
     怒気を孕んだ声を出され「すみません」と答える。どう見ても修羅場中。中に入ればいつもは整然としている部屋は散らかり放題。幻太郎は割と自炊してるイメージだったが現状出前の空容器があちこち積んである。涼しけりゃいいんだけどさすがにここにずっといるのはこっちが精神的にやられる。
     ご機嫌取りでゴミをまとめて片付けてから少し寝た。起きると幻太郎が覗き込んでいて
    「うお!」
     と言うと
    「小生の前でよく大いびきで寝ていられますね。」
     と静かに震える声を出される。怒りが伝わってきてこれ以上ここにいると八つ当たりがエスカレートしそうだ。
    「悪りぃ、邪魔したな。」
    「ええ。邪魔ですね。」
     返しもキレがなくて普通だ。お得意のウソもつけないくらい余裕がない。とりあえず日が傾き始めたところで幻太郎の家を後にした。
     
     なんだよ。日が落ちてもあっちーな。
     
     それでも昼間よりは歩いていても辛くはない。……ただ汗はヤバいくらいかく。幻太郎の家に食い物はたいしてなかったけど水道はあるから水を腹いっぱい飲んできた。背中がびしょびしょになるくらい汗だくだ。睡眠はとってとりあえず体力は回復したからどっか寝られそうな所を探そうとうろうろするものの東都の暑さは夜でも変わらずだから外で寝るのはなるべく避けたい。
     
     屋根付きの駐車場とかねーかな。
     
     自販機の釣り銭を物色しながら歩いてるうちにネオン街に突入。しかもシブヤ超えてシンジュクまで来ちまった。シンジュクもあっちー。と思いつつしゃがみ込んで自販機を探る。(……またなんもない)としゃがんだままうなだれていると
     
    「あの、大丈夫ですか……げ。」
     
     聞き覚えのある声。見上げるとシンジュクのリーマン。俺の顔を見てアワアワしている。
    「あ、大丈夫だよな、じゃ。」
     そう言って踵を返して去ろうとする肩をグッと掴む。
    「いや、具合悪い人かと思ったんだ。君、道路でしゃがみ込んでるから間違えただけで、あの、すみません!じゃ!」
     具合悪い人みんなに声かけてんのか、すげえな。
    「なあ。」
    「ッはい!」
    「どっか寝られるとこねえか。」
    「へ?」
    「夜も朝も暑くて公園で寝らんねーんだよ。風も無えし。」
    「は、はあ。」
    「ちょっと頭もくらくらするから涼みたいんだけどよ。」
    「え?頭?」
    「おう。」
    「君、今日何してたんだ?」
    「……乱数んとこ行って幻太郎とこ行って寝てた。夕方からはずっと自販機漁ってたな。」
    「……食事は?」
    「は?してねえ。水は飲んだぞ。」
     おもむろに俺の体を触り始める。首筋やら腋やら。
    「んー……おい、ちょっと屈め。」
     そう言われ膝を曲げるとおでこをくっつけられた。
    「!なんだよおい!」
    「お前、体熱くないか?」
    「ああ、まあ多少?」
     わからないけどな。
    「……俺一人だから大した事出来ないけどうちで休むか?」
    「え⁉︎いいのか‼︎」
    「お前、多分軽い熱中症だぞ。ほんとに大丈夫か?」
     言われてもピンとこない。でもこれで寝床確保できた。リーマンの家なら涼しいのは確定。上手くいきゃホストのメシが食える。……あ、いないんだっけか。
      
    「ひゃーすずしーーー‼︎」
     部屋に入ったらもう涼しい。
    「一二三、今出てったのか。まだ涼しいな。」
     時間は九時過ぎ。
    「今日はいつもよりだいぶ早く帰れたんだ。あ、飯食えるか?それより先に体温計……」
     リーマンはなんかごそごそ探している。それよりメシの方が嬉しいんだけどな。
    「ほら、熱測れ。冷房下げるか。……と飯は……お前素麺食えるか?」
     甲斐甲斐しいな。「おう」と答えるうちに腋の下でピピッと体温計が鳴る。37℃の表示に「少し高いのか?ほら経口補水液だ、飲め」と言いながらペットボトルを渡してくる。一口飲むと甘さが広がる。
    「うま。」
     と言うと「なんだよ結構ちゃんと熱中症じゃないか」と言われたがなんでこれを飲んで美味いとそうなのかは謎だ。そのあとなんか冷え冷えシートを首筋に貼られた。「ほんとは腋とか足の付け根とかも冷やすといいんだけどお前元気そうだしいいか」とテキトーさも見せてくる。別に涼しい部屋でメシ食えばクラクラするのは治るんだけどな。何度もなってるし。
     なんだか至れり尽くせりでメシも用意してもらう。素麺ていうから幻太郎がいつも出してくれる茹でてつゆ添えてあるだけかと思っていたらなんか麺の上にいろいろ乗っててホスト手作りのつゆをかけて食べるといって出してくれた。そのくせ自分はカップ麺を出して食べ始めた。
    「おい、それ……」
    「あ、俺はこれでいいんだ。一二三の作ったやつのがちゃんと栄養あるからそっちを食え。」
     ズルズルとカップ麺を食べながら言われる。素麺はめちゃくちゃ美味くてちょっと感動した。
    「こんなメシいつも食ってんのかよ。」
    「あー……帰ってこれる日はな。一二三に悪いから帰れなさそうな日は連絡してるんだ。」
    「え?嫁?」
    「バカか。そんなわけないだろ。一二三の世話焼きは性分だよ。」
     世話焼きはアンタも一緒だけどな。シンジュクはお互いが世話焼きなんだな。ウチとは大違いだ。ほっといたら俺のことなんて構ってくれねえからな。ま、俺から構いに行くからいいんだけど。
     美味いメシ食って洗濯もしてもらって風呂も貸してもらってあとは寝るだけ。借りたTシャツもすげえいい匂いがする。
    「さて寝るか……俺の部屋汚いから引くなよ。」
    「別に気にしねえ。俺はゴミ捨て場でも寝られるんだぜ。」
     得意げに答えたのに「ゴミ捨て場と同等か」と凹まれる。まだ現状見てないぜ。
     ガチャっとドアを開けると昼間のデジャブか?と思った。
    「なんだよ幻太郎と変わんねえな。」
    「え?夢野先生?」
    「おう。今日の幻太郎んちはこんな感じだったぜ。あーいつもはキレイだけどな。」
    「いつもは……ってことは酷い状態って事じゃないか。」
    「まあまあ凹むなって。部屋なんて寝られりゃいいんだしよ、ってベッド一つだよな。」
    「ああ。」
    「床で寝るか。」
    「何言ってるんだ。病人を床で寝かすわけにいかないだろ。」
    「病人て……でも床、お前寝れないだろ。」
     床には書類やらシャツやらが散乱している。少し退かせば俺は快適に寝られるが普段ベッドに寝てるやつにはキツいだろ。
    「ちょっと狭いけど二人で寝れるだろ。」
    「まあ、お前がいいなら別にいいけど。」
     男二人で寝るにはだいぶ狭めだが寝れないこともない。窮屈でも部屋は涼しいし布団は柔らかいしで俺にとっては天国だ。
    「お前、壁際にするか?」
    「は?」
    「落ちたら痛いだろ。」
    「ああ、俺落ちないし。お前のが鈍そうだから壁際行けよ。」
    「そ、そうか。じゃあ……」
     そう言って壁に引っ付いて横になりだいぶスペースを空けてくれていた。流石に悪いと思って
    「なあ、普通に寝ていいぞ。」
     と壁にぴったりくっついたリーマンの顔を覗くと疲れていたのかもう既に寝息を立てていた。
     
     おやすみ三秒かよ。
     
     翌朝目を覚ますと俺の体の上にリーマンの腕やら脚やらが乗っかっていた。俺が動いても起きる気配もない。
     
     意外と起きねえもんなんだな。
     
     そっと起きて部屋に散らかっている書類とシャツや靴下(多分洗濯前)とテーブルの上のグシャッと潰したビールの空き缶いくつかをまとめてやる。散らかっているだけで退かせば割と見られる部屋に変わる。
     
     ま、こんなもんだろ。
     
     時計は朝六時を指している。夜明けと共に起きる事が常の俺にはこの時間までゆっくりしたのは久しぶりだ。しばらくぼーっとしていたらピピピと目覚まし時計が鳴り出す。
     
    「おい、起きる時間じゃねえのか?おい、おい!」
     体を揺するとうるさいというのか腕をバシンと跳ね除けられた。むにゃむにゃ言いながら寝返りをうった。
     
     おもしれえ
     
     もう一度体を揺すると目がパッと開く。ガバッと起き上がり目覚ましの時間を確認する。
     そして頭をガリガリ掻いてからまたベッドに沈む。
     
     ???
     
     今度は何もせず床に座って様子を見ていたらまた目覚ましが鳴る。布団を被ったまま手を伸ばして目覚ましを手探りで取るとそのまま布団の中に引き込んだ。そしてもぞもぞと布団が動いたと思ったら「あー……もうあさかよ……」という落胆の声が布団の中から聞こえる。
     
     こいつ、おもしれえ
     
     静かに布団が捲りあがりのそっと起き上がるリーマン。ボーッとした表情をしている。絶対に俺の存在を忘れている。
     
    「よお!はよ‼︎」
     
     とベッドの下から声を掛けると「うわあ‼︎」と大きな声。
     
    「「びっくりしたー」」
     
     二人の声が合う。
     
    「悪い、忘れてた。」
     リーマンは寝起きの回らない頭を総動員してるんだろう。バツ悪そうに謝ってきた。そして部屋の様子を見て「片付けてくれたのか。ありがとう」と素直に礼を言われた。
     
     今まで煮え切らないダメな奴だと思っていたけど単純に優しい奴なのかとちょっと見直した。
     朝食まで食べた後出勤だというので駅まで一緒に行くとシブヤまでの電車賃までくれた。多分ほんとにいい奴だ。
     
     おもしれえからまた会えたらいいな
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    😭😭😭❤❤
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