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    comeco

    @happyota2

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    銃三が主。たまにさまさぶ、帝独、D4

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    comeco

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    銃三+帝独
    お化け屋敷に行ったらどうなるか。
    こうなりました。
    やっぱりな。
    つまらなくても責任は持ちません。

    お化け屋敷「帝統。そろそろこの間お貸ししたお金、返してもらえませんか。」
     金を借りに幻太郎の贔屓の喫茶店に行って目を合わせた途端発せられた言葉。
    「……。」
    「おや、まさか借りたものを返していないのに上乗せしたいとかまさかまさかおっしゃらないですよね。」
     静かな笑みを湛えているが目が全く笑っていない。
    「え、っと……」
     このまま帰るかと頭を掻いていると
    「小生の頼みを聞いてくれたらここでご飯くらいならご馳走しますよ。」
    「ま、まじ?」
    「はい。」
    「お金は……」
    「それは、後できっちり返してください。あと上乗せは無しです。」
     それでも飯が食えれば御の字だ。
    「で、何すりゃあいいんだ?」
    「ここに行ってきて欲しいんです。」
     見せられたのはイケブクロでやっている期間限定のお化け屋敷。必ずペア参加らしい。
    「で、俺と幻太郎で行くのか。」
    「いえ、小生はこれから怒涛の締切祭りに入りますので。」
     締切祭りって追い込まれすぎだろ。
    「次の話のネタに幽霊でもと思って。」
    「じゃあ自分で行ったほうがいいんじゃねえか?」
    「そうですねぇ。代わりに帝統が今書いてるのを書いていただければ行くんですけど。」
    「そりゃ無理だな。俺には幻太郎みたいな面白い話は書けねえ。」
    「そ、そりゃそうでしょうね。」
     なんか珍しく幻太郎が動揺してるけどなんだ?
    「そういうことなのでちょっと行ってきて下さい。」
    「あー……まあいいけどよお。これ乱数は無理だよなあ。」
    「……無理でしょうね。」
    「だーれと行くかなあ。りおーさんかなあ。」
    「あの方と一緒に行ってもお化け屋敷は楽しめそうもありませんけどね。」
    「だよなあ。……あ、今日って何曜?」
    「……帝統、曜日もわからないんですか。あなた生活大丈夫ですか?今日は日曜日ですよ。」
    「日曜か。……仕事かもなあ……ま、一応連絡してみるか。」
    「おや、当てがありそうですね。」
    「あー……わかんねえ。ダメならまた他当たるからいいわ。これ、いつまで?」
    「そうですね。これから一週間わっちは監禁されるので……」
    「監禁って……わかった。それまでに感想まとめときゃいいんだよな。」
    「流石帝統、わかってるじゃないですか。感想の出来によって報酬も出しますよ。」
    「まじか!頑張るぜ。」
     腹一杯食わせてもらって店を後にした。
     
     さて、とりあえず電話をかけよう。
    「…………もしもし……」
     うーわ。めっちゃ眠そうな声。
    「俺。」
    「…………どなたですか……」
    「俺だって。」
    「……詐欺られるほど金持ってないんで切りますね」
     ガチャッと通話が切られる。
     でも休みなのは確定。これで相方確保できる。
     もう一度電話をかける。
    「…………もしもし」
    「なあ、お前今日休みなんだろ。ちょっと出てこいよ。」
    「……俺は眠いので無理です。他を当たってください……」
    「なんでだよ。デートしようぜ。」
    「……はあ……なんでお前とデートなんだ……」
    「はあ?お前がホテルでセックスだけなのに付き合ってるとかないわって言ってたんだろ。」
    「…………朝から何を…………」
    「いや、もう昼過ぎだぜ。」
    「へ⁉︎……うそだろ?」
    「いやマジで。」
    「……今日買い物行こうと思ってたのに」
    「あ、じゃあそれも付き合ってやるわ。とりあえず迎えに行くわ。」
    「は?迎え?」
    「家、は知らねえけどシンジュク駅の近くだろ?」
    「へ?いい、いい。駅にいろ。」
    「おう。じゃ、三十分後な。」
    「分かった。」
     あいつマジでちょろいな。


     玄関がガチャっと開いたから「おかえり」と顔を出したら
    「マジで二度と行かねえ。」
     と涙目の二郎が学校から帰ってきた。
    「どうしたの?」
    「サッカー部のやつらと一緒に帰ってきたんだけどさ、面白いイベントやってるから行こうぜ!って言われて行ったらお化け屋敷だった……」
    「なーんだ。お化け屋敷か。」
    「なんだじゃねえ‼︎めちゃくちゃ怖えんだぞ。真っ暗だし、オバケでるし!」
    「だってお化け屋敷なんだろ?」
    「……そうだけど。」
    「二郎が行って大丈夫なくらいじゃ大したことないだろ。」
    「…………途中から何も見てねえ。」
    「は?どういうこと?」
    「友達の背中にくっついて目瞑って外まで出た。」
    「は?じゃあ中の仕掛けとか何も見てないのかよ。」
    「なんだよ仕掛けって!オバケだって言ってんだろ‼︎お化け屋敷好きって友達もビクッてなんだぞ!怖くて目なんか開けられるか‼︎」
     どんな論法だよ。でもちょっと楽しそう。
    「それってどこでやってんの?」
    「は?お前行くのかよ⁉︎」
    「え?うん。」
    「駅近のイベントホールあんじゃん。あそこ。二人一組入場って言ってた。」
    「え、じゃあもう一人の人大変だったね。二郎と二人で入ったってことでしょ?」
    「……じろちゃん大丈夫ってガチで心配された。」
    「だろうね。」
     でも面白そう。
     
    「……ってわけなんだけど、一緒に行かない?」
    「お化け屋敷ですか。」
    「今度の日曜。どう?」
    「まあいいですよ。日曜か……」
    「仕事?」
    「いえ。左馬刻との……」
    「あ、断って。そんなの僕が優先。」
    「……まあこちらで調整しますよ。」
    「やった!楽しみ。」
     お化け屋敷、二郎のせいで行ったことないんだ。どんな感じなんだろ。
     
     日曜日、会場に着いたのは夕方。結局左馬刻がゴネたせいで遅くなった。あいつ大人のくせに大人気ないんだよ。夏休みイベントで結構早い時間に終わっちゃうって言ったのにギリギリ。
    「本日最終組になりますのでゆっくり楽しんでください。」
     と入口のお姉さんに言われた。
    「暗いね。」
    「そりゃそうだろう。」
     いかにもお化けが出そうな雰囲気の音が大きく聞こえるがその音に隠されるように仕掛けの音も聞こえる。
    「おい、何見てるんだ。」
    「ほら、ここ。センサー。」
    「……はあ。お前、何しに来たんだ。」
    「え?どうやって人を驚かすんだろうって興味があった。」
    「……。」
    「銃兎も怖くなさそうじゃん。」
    「ああ。これじゃ全部見えるくらい明るいくらいだからな。」
    「へー。」
     大きな音も飛び出してくる人形もなんか事前にわかっちゃうし、スタスタ歩いてたら足元の何かにドンとぶつかった。
    「?」
    「あ、すみません。靴紐が解けちゃって、あの隅に避けますね。」
     聞き覚えのある声とすみませんのなめらかさ。
    「観音坂さん、お久しぶりです。」
     僕が言う前に銃兎が挨拶した。挨拶するか?こんな状況で。
    「観音坂さんがいるということは伊奘冉さんもいらっしゃるんですか?」
    「おーい!どこ行ったんだ?」
     聞こえてきたのは伊奘冉とはかけ離れた濁声。
    「有栖川帝統か。」
    「ええ。そのようですね。」
    「あ、あ、ごめん。靴紐が解けちゃって。」
    「なにやってんだよ。?お、犯罪カップル。」
    「はあ?」
    「失礼ですね。合意なので犯罪ではありませんよ。」
    「真面目に返すなよ、くそニートなんかに。」
    「ニートじゃねえ!ギャンブラーだ!」
    「もっとタチ悪いよ。何してんの、こんなとこで。」
    「お化け屋敷見て感想書けって幻太郎に言われてて来たんだけどよ、今んとこなんもねーんだわ。」
    「観音坂さん、こわくないの?」
    「お、俺?俺は別に。」
    「さっきさ、血みどろの女出てきたのはちょっとびっくりしたな。」
    「ああ。生首が浮かんで見えるやつか。」
    「そう、それ。」
    「ああ。あれは上手く見えましたね。」
     その後は四人で進んだが怖く見える演出を三郎が悉く先回りして喜んでいるのを銃兎が見守り、帝統と独歩は周りに何が起こっても淡々と消化していく。終始この感じで進み、結局男四人で誰も驚くことなく出口に到着。
     
     全員の感想が「涼しかった」だった。
     
     
     
     ちなみに夢野大先生の評価は
      
    「帝統、小生は中のおどろおどろしい雰囲気やら作り物の滑稽さやらを期待していたんですけどね。涼しかったって感想をいただいても何も書けませんよ。よって報酬は出せません。」
     
     でした。残念。
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