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    comeco

    @happyota2

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    銃三が主。たまにさまさぶ、帝独、D4

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    comeco

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    銃三

    悪夢 うなされている声で目が覚めた。
     
     僕が寝た時は一人で寝ていたんだけどいつのまにか帰ってきてたんだ。眉間に皺を寄せてウーンウーンと苦しそうな悲しそうな声を出して隣で眠っている恋人。仕事の夢でも見ているのか。起こした方がいいのかそのままにしておけばいいのか迷ったけどとりあえず小さい頃怖い夢を見た時に二郎にギュッとされて安心したから僕も恋人にギュッと抱きついてそのまままた目を閉じた。
     
     …………
     
     疲れていると嫌な記憶が呼び起こされるのか悪夢を見ることが間々ある。内容はさまざまだし、起きた時に覚えていないことも多いが明らかに寝汗をかいていて不快だし、寝た後なのに余計に疲れていてなんとも後味の悪い感覚で目が覚める。このところ捜査が思うように進まず、残業に残業が重なり家に帰れないほどの激務だった。仮眠をしても寝た気になれずいつにも増して疲れ切っていた。
     家に着いたら玄関に見覚えのある靴が揃えてあったが帰宅は深夜で室内は真っ暗で何の音もしない。シャワーを浴びて着替えてから寝室に行けば単身には広いベッドの真ん中で恋人がしあわせそうにすやすやと眠っている。起こさないようにそっとベッドに入るが真ん中にいるので仕方なく体を横にしてあまり幅を取らないように小さくなって身体を休める。布団の中が温かくなっているだけで小さな幸せを感じる。
     眠ってどのくらい経ったのかわからないがハッとして覚醒する。覚醒したものの目を開けるのが怖くなり目を閉じたまま夢の中の出来事を反芻して現実ではない事を頭の中で整理する。見ていた夢は両親を亡くした頃の夢。一人になって寂しくて心細かった日々がリアルに再現されていた。だいぶ経つというのに未だにこんな夢を見る自分はなんて弱い人間なんだろうと気分が落ちる。すると隣で寝ていた恋人が俺の体をギュッと抱きしめてきた。そして背中をトントンとゆっくりとしたリズムで優しく叩く。小さな子供を寝かしつける時のように。そのうち叩いていた手のひらはそのまま俺の背中に置かれすよすよと安らかな寝息が聞こえてくる。どうやら眠ってしまったようだ。
    「ありがとう、三郎。」
     眠っている恋人にお礼を言う。こんな歳になっても一人は嫌で寂しいと心が悲鳴をあげてしまう情けない大人の俺を包んでくれる可愛い恋人。無意識なのかもしれないがそこには確実な優しさが存在する。心まで温められ安心して眠れる幸せを改めて噛み締めながら静かに目を閉じた。
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