Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    comeco

    @happyota2

    字書き。
    銃三が主。たまにさまさぶ、帝独、D4

    @happyota2

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 53

    comeco

    ☆quiet follow

    銃三

    一緒にお勉強「ねえ、これは?この発音」
    「どれですか?」
     ただいま英語のスピーチを特訓中。
     この間課題で作文を提出した。うちでやっててもうるさくて落ち着かないから静かな銃兎の家で書いていた。その日は銃兎はたまたま休みで僕の隣で静かに本を読んでいた。
     ふとラップしててもやたらと発音のいい銃兎に英語が得意なのかと聞いたら「まあ」という返事。こいつの気のない返答はそんなの当たり前だろって事だ。努力して得たモノは得意げに話してくるから。それならと思い英文の間違いがないかを銃兎に確認してもらって言い回しとか少し直されたのを提出したのだがそれが何故かスピーチコンテストに選ばれてしまった。
     僕は英文はまあわかるんだけど発音はどちらかと言えば苦手だ。今日は書いた作文のコピーを銃兎に渡し「ごめん、教えて欲しい」と言ってスピーチコンテストに出る事を伝えた。休みを二回も勉強に費やすのは気が引けたのだけど他に教えてくれそうな人に心当たりもない。銃兎は「へー。すごいな」と言うから「こんなつたない英語でコンテストなんてって思う?」と聞くと「いや文章自体はちゃんとしてる。ただ割と難しい単語もあるから読むのは大変だなと思ってな」
     
     え?難しい単語?
     
     書く事に夢中で読む事は考えていなかった。頭の中では日本語英語の発音でなんとなく読んでいたが本当の発音はわからない。そりゃ発音記号とかはあるけど……辞書片手に読むわけにはいかない。
     
    「ごめん。読んでもらっていい?」
     
     銃兎はスラスラと英文を読んでいく。たしかに聞いたことない言葉がいくつもある。初めて聞く銃兎の英文朗読は心地よくて僕もそんな風に読みたいと思った。
     
    「ま、お前は耳がいいからすぐ読めるようになるだろ。ほら、読んでみろ」
     
     お手本がすごかったのにいきなり読まされるのか。辿々しくザ・日本語英語を披露する。銃兎は苦笑しながら一文ずつ丁寧に読んでくれる。意味が変わらないよう言いやすい言い回しに変えてくれたり、簡単な単語をチョイスしてくれたりして原稿をあとで先生に見せるようにと書き直しもしてくれた。
     それでも直さずに読める方がかっこいいからボソボソと繰り返していた。
     
    「ちゃんと声に出さないとダメだな。気にせずに何度も読めばいい。そのうち慣れる。ラップと一緒だ」
     
     この日はずっと銃兎と英語の勉強で終わってしまった。つまらない休みにしてしまった気がして申し訳なくなってちょっと不安になる。
     
    「久しぶりに俺も学生の気分を味わえた。たまにはいいな、こういうのも。三郎は毎日同じでつまらないのかもしれないけどな。また宿題持ってきていいぞ」
     
     と満足気に伸びをしていた銃兎。
     よかった。
     
    「おっさんくさい」
    「なんだと。せめてお兄さんくらいで止めろ」
    「生憎兄は二人もいるんでね。もうこれ以上いらないよ」
    「はいはい。ほら、送ってくぞ。早くしろ」
    「……ありがと」
     
     ぽんぽんと頭を撫で「頑張れよ」と言うとさっさと玄関の方に行ってしまった。
     持ってきた勉強道具を持って僕も部屋を後にした。
     
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works