千年紀のはじまりに 最初に出会ったのがいつだったのか、僕はまだ覚えている。千年の長い間、一つの記憶も取りこぼすことなく僕は『レオナルド』の傍にあり続けていた。
初めて出会い恋をして、永遠を誓ったあの日からもう千年が過ぎた。その間に、何人の『レオナルド』の誕生を見届け、成長を見守り、その死を迎えたことだろう。……ああ、前回で二十五人目だった。忘れてはいない。
『レオナルド』は一度死を迎え、忘却の川を渡るたびにその代償として記憶を一つなくしてきた。
最初の死の後、僕と初めて会った場所を忘れた。
二番目の死の後、僕が贈った花の色を忘れた。
三番目の死の後、二人で月を見上げたあの丘の景色を忘れた。
四番目の死の後……
……二十五回目の終わりを迎える臨終の床で、『レオナルド』は僕に手を握られながら力なく微笑った。
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