でもでもだってここ、あなた方の最後の拠点なんでしょう?こんな簡単に私たちにバレていいんですか?
心当たりは?無いんですか?それはないなあ。だって現にここに私がいる。
可哀想に。きっと人を見る目がなかったんでしょうね。
え?私はそもそも見る目がないだろうって?
あはは。面白いですよ。いいですね。
「い、言ってな……」
3本目。
(ぽきぽき。骨を折る音。)
「ぎゃあ!」
うわあ、痛そう…私ね、こういうの本当はやらないんですよ。
ほら私、こういう力だから。あなたの痛覚が今どう働いてるかもわかるので。結構辛いんですよ……想像してしまって……。
そっちに治癒系の能力者……Aさんがいるって聞いてるから、安心して指示通りやってるけど。これが違ったら嫌だなあ……。
どうなんですか?うわさの治癒能力者はどこにいるんでしょうか。吐いていただければ、そのAさんを捕まえて、Aさんにあなたの怪我を治させて、それから本部に連れて帰って、2人とも爪に降伏してもらって……。
だからそもそも、Aさんがいないとあなたの怪我も治せないというか。うちにそんな高度な医療技術はないので、早く吐いてもらわないとお互い困るというか……。
え?あなたがAさん?早く言ってくださいよ。
じゃあ早く本部に……え?何。え、治せない?治せるのは擦り傷だけ……?
治せないのか……しまった。やり過ぎたかもしれない。
……ちょっと待ってくださいね……。
もしもし……ボスですか。はい。島崎です。頼まれてた治癒能力者なんですけど……言われた通り拷問した相手が、そうだったんですよ。はい、そう、それが治癒能力者で……
しかも擦り傷程度しか治療出来ないらしく。拷問で負わせた怪我を治せないとのことで、ちょっと間に合わないかもしれなくて……。
何が何でも連れて帰れ?治癒能力者は貴重だから?間に合わなかったら……はい、間に合っても治療費、私持ち……はい……。はい。わかりました……。
……あー……。
……乗り込んで、近くにいたやつを拷問して聞き出せって。傷はヒーラーに治させればいいからやり過ぎても良いって。言ったのはボスなのに。
私の責任なのか。はあー……。
……ということなので。ちょっと揺れるけど、頑張って耐えてくださいね……。
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・このあと統一郎のエネルギーを分け与えられてなんかすごい治癒能力者になったAは自分で自分を治療して復活。
・統一郎のエネルギーを分け与えた代を治療費として、島崎の給料から引かれた。
おしまい!