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    um040d

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    um040d

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    季節外れのバレンタインネタ。短いです。
    「はいはいアリガトね。」の小生意気な感じと夏休み漫画の幼さとのバランスを考えながら書いてみたもの。テルくんの内と外。

    あこがれクッキー貰ったバレンタインのお菓子を食べきるのを島崎さんに手伝ってもらっていたら、ある女の子がくれたクッキーを食べるなり「これ、美味しいですね」と言って5個あるうちの3個をあっという間に食べた。僕も味を確認したいから半分こで食べようと決めていたのに、この人は僕に聞きもせず一個多く食べた。そんなに美味しいのか。

    「どんな味?」
    「たぶん、アールグレイ。」

    アールグレイ。最近どこかで見たような。そうだ、このあいだ時間を潰すために立ち寄ったカフェのメニューに書いてあったんだ。適当にアイスティーを頼もうとしたら、紅茶にこだわっている店だったようでアイスティーという文字はなく、様々な紅茶の銘柄が書いてあった。たしかそのうちの一つだったはず。
    とっさに頼んだカフェオレを飲みながら紅茶の種類を調べたから覚えていた。

    「紅茶、好きなの?」
    「それなりに。」
    「へえ。コーヒーを飲んでるところしか見た事なかったから意外だな。」
    「どちらも好きですよ。時と場合によるだけで。」

    僕も紅茶のクッキーを一つ手に取る。クッキーは黒い粒のようなものが混ざっていて、プレーンのものと比べると紅茶の色に染まって全体の色が少し濃い。
    味は……まあまあ美味しい。けど、

    「僕にはまだ早いかも。」
    「そうですか。」

    興味なさそうにそう言って僕に断りもなく残りの一枚を持って行った。

    「みんなキミに理想を抱きすぎ。」
    「え、何の話。」
    「10代の学生にしては贈るものが大人びているんですよ……味とか、包装とか。学校でのキミって……ふふ。」
    「なんだよ。」
    「そうとう高飛車で鼻につくガキなんだろうなって。」
    「お菓子分けて貰ってる人の態度じゃないなあ……もうあげないよ。」
    「冗談ですよ……」

    お菓子を隠すように腕で覆ってみたが、簡単に払いのけられ次のお菓子を持っていかれた。

    「あと最後に。さっきのクッキー、年下の女子からでしょう」
    「……合ってる。何でわかるの」
    「背伸びしてる気がしたので。」


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    um040d

    TRAINING大遅刻です。島テルのお月見。
    主には島崎の視界の話。色々捏造しながら解釈しています。全部妄想。
    団子も月も最後は空気どころか何故か星座の話になります。あとテルくんが少し島崎に当たりが強めかもしれない。
    地の文練習だったけど途中から力尽きています。小説はこれが初めてなので大目に見ていただけるとうれしいです・・・。
    おつきみ「島崎さんって良いタイミングで来るよね」

    輝気は突然の来訪に驚きもせずそう言った。輝気はちょうど台所の片付けをしているところで、もし来たのが調理の最中なら色々手伝わせたのにと思うと嫌味の一つも言いたくなる。
    台所のシンクに跳ねる水の音は洗面台のものと違って少しうるさい。少し声を張りながら話す。

    「お月見団子を作ったんだ。今日は満月だから。たくさんあるから食べて良いよ」

    片付けを終えた輝気は、団子が乗っている皿を島崎にも分かるよう音を立てて置いた。
    ゴトリ。団子というよりは夕食の大皿を想像させるような、かなり鈍く重い音だった。それを聞いた島崎は耐えきれずと言ったふうに笑った。
    ・・・確かに作りすぎた自覚はある。砂糖を使わないレシピを選んだから、余ったら味噌汁に入れても良いな、せっかくだし明日も食べようかな、なんて思ってレシピより多めに材料を出してみたらちょっとすごい量になってしまった。団子を丸めすぎて手が疲れたし、細かくちぎって丸めるのが面倒になったので後半の団子はかなり大きい。でも輝気は2日かければ食べきれる自信があった。だから、この男が来て助かったとかは別に思っていない。本当に。
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