盟友○○り旅(仮) 雲一つない青空に二つの太陽、どこまでも広がる砂漠にポツンと人影があった。赤いコートに髪を逆立てたいつもの格好で、ヴァッシュは大粒の汗を流しながらヨロヨロと重い足取りで熱砂を踏みしめる。
「トンガリ、前見てみい」
俯いた顔をどうにか上げれば、熱で揺らぐ地平線の向こうに薄らぼんやりと何かの陰が見えた。歩みを進めるごとにその陰の輪郭が鮮明になり、それが小さな建物の集まりなのだと気付く。
「町……?」
「ようやっと着いたで」
「……町だ。蜃気楼じゃない! 町だ!」
途端に元気を取り戻したヴァッシュが水筒をあおる。いつ着くか分からない道程に制限していた量を大幅に超えて喉を潤し、今まで丸まっていた背中をぐっと伸ばす。
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