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    らくがき置き場😃

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    フランク総受けで、クラウンやゴスフェやレイスにけつ穴狙われるフランクがトリスタに相談する話をだいぶ前に書いてたんだけど完成しなかったので供養します。

    書きかけトリフラ空白

    「はあ……」

    フランクは悩んでいた。
    原因はストーカー。四六時中どこからともなく見張っているゴスフェ、性欲のままに突進してくるクラウン、そして新たに透明化できるレイスが加わった。

    チェイス力に長けた怪力汚じさんに、隠密力の高いのが二人…もはや安住の地などどこにも無いのでは無いかとフランクは頭を抱えていた。

    今はキラー達専用に作られた拠点のロビーにいる。不意をつかれないように部屋の角を背にしてソファに座っている。

    少し離れた所、フランクから見て右の方に立ったまま雑談に花を咲かせているハントレスとスピリットがいて、反対の左の方にはガラクタをいじって黙々と何かを作るヒルビリーと、その隣で本を読むハグがいる。

    協調性など皆無のようなキラー達だが、意外にも彼らの中には人の気配が恋しい部類もいて、このロビーには大抵誰かがいて各々好き勝手に過ごしていた。

    さすがに人目のある場所ではストーカー達も凶行には及ばないだろうし、万が一クラウンに会ったら誰かに助けを求めればいい。

    ちなみにリージョンの他の三人は各々儀式に行っていて、フランクもさっき帰って来たばかり。強化されて以降、何かと忙しいのだ。

    フランクはひとまず安心してカップに入ったホットチョコレートを口に運ぶ。リラックスタイムにコーヒーでは無くホットチョコレートを飲むのは霧の森に来る前からの習慣だった。

    「いい香りだね。僕も飲みたいな」

    不意に、よく通る魅力的な声が聞こえてフランクは顔を上げた。
    儀式を終えて、ロビーに入って来たばかりのトリスタがコツコツと靴を慣らして近づいてくる。

    「…そこにあるから飲みたきゃ勝手に飲めよ」

    フランクがぶっきらぼうに指差す先にはセルフサービスのドリンクバーがある。キラー達の好きなドリンクや休憩にピッタリなお菓子などが置いてある。

    エンティティはああ見えて、コレクションであるキラー達を愛して可愛がっているので、案外こういったサービスを用意してくれている。見た目のグロテスクさと味の良し悪しは置いておくとして。

    トリスタはフランクの態度など気にしない様子でドリンクバーに向かう。
    フランクから見て、長すぎるくらい長い脚を器用に操って不自然なほど美しく歩くトリスタをフランクは苦々しい目線で見つめる。

    (ケッ、ナヨナヨしやがって…アイドルだか何だか知らねえが男のくせに化粧なんかしてるし、露出多いし、アイツの方がよっぽど"ソッチ"に人気ありそうじゃねえかよ…)

    心中で悪態をつく。90年代に生きたフランクには韓流アイドルの魅力や世界的な人気ぶりなど知るよしも無かった。

    ただふと思いついた。

    (待てよ?ショービジネスの世界にいたんだし、お偉いおっさんとかに理不尽なセクハラとかレイプとかされたことあったりして…?売れる為なら…とかそういう…枕営業的な?)

    あまりにも偏見だが、光り輝く世界につきものの暗い闇の部分を勘ぐって、フランクは急速にトリスタに興味を持ち始めた。

    話がしたい。聞いてみたい。できたら相談したい。

    (アイドルならストーカー被害にもあってるかもしれねえし…!)

    フランクは胸を躍らせた。もしそうならこれ以上無いくらい適任の相談相手だ。

    トリスタはホットチョコレートの入ったカップを手に、どこに座ろうか一瞬思案したが、角から届く熱視線に気づいて口元に笑みを浮かべた。
    スターたる者、自分を見つめる熱い眼差しには殊更敏感に反応する。

    真っ直ぐにフランクの元に歩み寄る。睨みつけるような鋭い眼光の中に、敵意では無い強い好奇心を見抜いてトリスタはもう一度、今度はフランクの目を見て微笑んだ。

    「隣、座っても?」

    どこからみても非の打ち所がない完璧な笑顔。男女問わず、時にはアンチでさえ一目で虜にするスターの微笑みを至近距離で食らって、フランクは不覚にも心臓がドギマギして顔を赤らめた。

    「お、おう」

    おずおずと、ど真ん中に陣取っていた尻をずらして、ソファの片側を空ける。

    「ありがとう」

    トリスタがふわりと座って長い脚を組む。フランクの鼻先を、嗅いだことのないようなお洒落で甘く良い匂いがくすぐった。

    (さ、さすがはスター……!)

    悔しいが田舎育ちのフランクは、トリスタの洗練された立ち居振る舞いを間近で見て圧倒されてしまった。彼の溢れる魅力を認めざるを得なかった。今まで遠目でしか見ていなかったから気づかなかったのだ。

    胸が勝手にドキドキする。緊張?ワクワク?わからないが高揚してしまう。
    顔で、スタイルで、仕草で、声で。あらゆる武器を使って滅多刺しに射止めてくる。天性の人たらし。それがトリックスターこと、ハク・ジウンだ。

    フランクがトリスタの『誘惑の術』にハマったことは当然トリスタにはバレている。今までそうやって数えきれないほどの人間たちが自分に落ちる瞬間を見てきたのだ。

    「まともに会話するのは初めてだよね?リージョンのリーダー…名前はフランクだったよね。よろしくフランク」

    トリスタがにこやかに握手を求めてくる。

    「あ、ああ、よろしく」

    素直に応じるフランク。トリスタは目を狐のように細めて妖艶に微笑んだ。

    「僕の勘違いでなければなんだけど…何か僕に話したいこととか無いかな?」

    「え?」

    心の内を見透かされてフランクは面食らった。動揺するフランクに警戒されないようにトリスタは困ったような優しい笑みを浮かべる。

    「違ったらごめん、何だかそんな風に見えたんだ。昔から僕、人に相談されることが多くって、君の表情からそんな気がして…」

    「あ…えと……」

    いきなり図星をつかれて、フランクはまごついた。
    正直、自分から話したことがない相手にいきなり悩みを(しかもディープなやつを)切り出すのは無理があったから、トリスタの言葉はまさに渡に船だった。

    「そ、そうなんだよ。実はちょっと聞きたいことがあってさ…」

    完全にトリスタのペースで会話するフランク。本来、他人にリードを許すなど断じて許さない彼だが、乗っけから翻弄されて完全に警戒心を解いていた。

    当然、トリスタの思惑通り。完全に彼の人心掌握術の術中にハマっているのだ。

    (ふーん、あんなに野生の狼みたいに目をギラつかせて警戒してたのに案外チョロいんだ)

    トリスタは柔和な微笑みの奥で冷静にフランクを観察していた。

    初めて霧の森に来た時、リージョンのリーダーとして年齢不相応な風格を漂わせていたフランク。

    トリスタはその時確かに、名だたる殺人鬼達と名を連ねるだけはあると、内心感心したものだが、案外ガードはもろく、一旦懐に入ってしまえばこんなにも幼い部分を見せるのかと拍子抜けしていた。

    そもそもこんな悩みが無ければフランクも容易く隙を見せることは無かったのだが、トリスタの人垂らしスキルの高さも相まって、ホロリ、と警戒を解いてしまった。

    これが悲劇の始まりだった。
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