インヴィクタジョキョク!!!小さい頃から、ぼく、藻部原雅夫の世界には両親がパーカッショニストだった事もあり、音楽があった。
ぼくにとって、タンバリンやカスタネット、トライアングルは遊び相手で、ぼくがそれらで遊んでいると、両親は上手だ上手だと褒めてくれた。
小学生になると、両親はぼくを音楽教室に通わせてくれて、そこで家ではやった事のなかったシンバルやマリンバ、ドラムと出会い、ますます音楽が大好きになった。
そんなぼくにとって、音楽と共に大好きなもの……大好きな人が出来たのは、中学生の頃だった。
「1年B組、杉元佐一です。よろしくお願いします!!」
入部した吹奏楽部で、この人はすごい、という雰囲気を纏っていた杉元くん。
かっこいいな。
と思って胸が熱くなったのは、見た目だけでなく、トランペットの音色を聴いた時だった。
顧問の先生も先輩方も驚きの表情を見せるくらい、杉元くんの音色は人を惹きつける魅力と力強さがあった。
同い年で、こんなにすごい人がいるなんて。
以来、ぼくはすっかり杉元くんのファンになってしまった。
そして幸運にも、ぼくは杉元くんと同い年で同じ吹奏楽部という事で親しくなれて、杉元くんが教科書を忘れた時に貸してあげられたり、一緒にテスト勉強が出来たりという仲になれた。
毎日が楽しくて、すごく充実していた。
けれど、ある日それは起こった。
杉元くんが国内のトランペットのコンクールで入賞を勝ち取った帰り、乗っていたバスが事故に遭い、意識不明の重体になった。
吹奏楽部の顧問の先生からその話を聞いた時、ぼくの目の前は真っ暗になった。
杉元くんの回復を祈る事しか出来なかったぼくが杉元くんと会えたのは半年後の事で、お見舞いに行けるようになったと顧問の先生から聞いいたぼくは杉元くんが大好きだと話していた干し柿と、杉元くんが好きそうな、可愛らしい熊の絵が描かれている缶に入ったクッキーを持っていった。
「わぁ〜♡♡♡かわいい〜!!!」
と、杉元くんは目を輝かせてすごく喜んでくれた。
「ずっと心配してくれてたんだって?ありがとな、藻部原」
そう言って笑ってくれた杉元くんの笑顔は以前と何一つ変わらなかったけれど、その顔には痛々しい傷跡があった。
「こういう傷、身体中にいっぱいあるんだ。最初はもっと酷くてさ。でも、助かったからいいかなって思って」
「うん。ぼくは今の杉元くんも変わらずかっこいいと思うよ」
ぼくが言うと、杉元くんはそうか?って言いながら照れ臭そうに笑ってくれた。
良かった、杉元くんの命が助かって、本当に良かった。
杉元くんの顔を見てぼくは安堵した。
けれど、退院してからの杉元くんは事故の影響で以前のような力強い音がなかなか出せなくなっていた。
「クソっ、何でだよ、何で前みたいに吹けないんだ……!!!」
部活の帰り、杉元くんはいつもそう言って苦しんでいた。
何とかしてあげたい。
そう思ったけれど、どうしたら杉元くんを助けてあげられるのか分からなかった。
それはぼくだけじゃなくて、先生も、先輩方も、みんな杉元くんにどう声を掛けていいのか分からない様子だった。
そんな状態が変わったのは、一緒に受験勉強を頑張って、高校に進学した頃だった。
杉元くんは不調の間に元々背が高い方だったのに更に背が伸びて、それと同時に身体も大きくなって、ますますかっこよくなっていた。
そんな身体になった杉元くんが奏でる音色は事故に遭う前よりも力強くなって、入学してすぐのコンクールではソロを任されて、学校に初めての全国大会出場をもたらした。
杉元くんは個人でも国際コンクールで入賞し、事故から復活した事から、『不死身の杉元』というニックネームがつけられて、テレビでも紹介された。
そんな杉元くんの傍にいても恥ずかしくないように……と、勝手に思っていたぼくは、国内のコンクールに挑戦して、優秀な成績を残す事が出来て、杉元くんから良かったな、おめでとうって声を掛けてもらえたんだ。
嬉しい事は更に続いて、杉元くんとぼくは日本国内で優秀な中学生と高校生を集めて演奏をする、というイベントのメンバーに選ばれ、高校生活最後の夏休みの間、ずっと杉元くんと寝食を共に出来る事になった。
ここでも杉元くんは『不死身の杉元』として知らない人はいない状態で、一目置かれる存在だった。
ぼくと杉元くんが泊まる事になった部屋は4人部屋で、ぼくらの他に唯一中学生でバイオリン担当の鯉登音之進くんと、ぼくらと同い年で指揮者担当の花沢勇作くんがルームメイトになっていた。
ふたりとも音楽の才能はもちろんすごいと思ったんだけど、見た目もかっこよくて、ぼくだけ場違いだったけれど、ふたりは気にしていないみたいだった。
「杉元くん!藻部原くん!出だしの練習をしたくて、付き合ってもらってもいいかな?」
「おう、いいぜ」
「うん、大丈夫だよ」
花沢くんは背丈や身体つきが杉元くんと同じくらいで、杉元くんとは似てるようで違うタイプのかっこよさの持ち主だった。
「あの……、わたしも参加してもよろしいでしょうか?」
そんな花沢くんに、鯉登くんが少し遠慮しながら話しかける。
鯉登くんはぼくと同じくらいの背丈だけど脚が長くスラッとしていて、中学生にしては落ち着いていて大人っぽい雰囲気がある子だなぁとぼくは思っていた。
「勿論だよ、鯉登くん。助かるよ。アラゴネーズの出だしを練習したいんだけどいいかな?」
「分かりました。あの、良かったら闘牛士の歌の出だしの練習もしたいのですが」
「うん、いいよ、やろう!!」
部屋でこうした練習をしてからみんなでお風呂に行くようになっていて、ぼくにとって、とても有意義だなぁと思う時間だった。
今回、ぼくらは『カルメン』を演奏する事になっていて、杉元くんはソロで演奏するところもあったりして、ぼくはその時の杉元くんの音色にいつも感動していたりする。
「はわわっ!!!」
「あー、また折っちまったのかよ、花沢。握る力強すぎ」
「うん、つい力が入っちゃって」
出だしの練習を何度か繰り返していたら、花沢くんが指揮棒を折ってしまう。
大きな身体でメロディを口ずさみながらダイナミックに指揮棒を振る花沢くんは、全体練習中も何度か棒を折っていた。
「今新しいのを出すから……」
そう言って開けた赤茶色の長方形のケースには、沢山の指揮棒と一緒に誰かの写真が入っていた。
「えっ、誰だれ?今の写真。好きな人?」
指揮棒だけを取り出そうとする花沢くんを、杉元くんが止める。
「あっ!!!」
「えっ……」
杉元くんが手に取った写真には目を閉じてチェロを弾いているぼくらと同じくらいの男の人が写っていた。
「…………」
花沢くんは顔を真っ赤にして俯くと、
「兄様なんだ。母親は違うんだけど、とてもお美しくてチェロがお上手で……」
と、恥ずかしそうにしながら言った。
「へぇ、憧れの兄貴なんだな!そんな兄貴がいるなんて羨ましいよ」
そんな花沢くんに、杉元くんは笑顔でこう言った。
「う……うん、そうなんだ。もっと仲良くなりたいんだけど、うまくお話出来なくて……」
「そっかぁ、俺、兄弟いないから兄弟って何でも話せる関係なのかと思ってた。あ、藻部原もひとりっ子だったよな?」
「あ、うん」
杉元くん、ぼくがひとりっ子って覚えてくれてたんだ。
……すごく嬉しい。
ぼくは胸がじーんとした。
「鯉登は?」
「……わたしは、歳がかなり離れていますが兄がいます。今は海外の大学に留学しているので年に1、2度くらいしか会えませんが、とても優しい兄です」
「そうなんだ、いいなぁふたり共、憧れるくらいスゲー兄貴がいて。な?藻部原」
「う…うん、ぼくもそう思うよ」
泣きそうになるのを堪えながら、ぼくは杉元くんに笑顔を返した。
コンサート当日、無事に演奏を終え、荷物をまとめて宿泊先のホテルを出て帰ろうとしていた杉元くんとぼくを、七國信用金庫の菊田さんという人が尋ねてきた。
「君たち、進路は決まっているのかな」
「いえ、まだですけど……」
「ぼくもまだです」
ホテルの喫茶店で、菊田さんはぼくらにケーキと紅茶のセットを御馳走してくれた。
進路の事、ぼくは杉元くんと一緒の進路がいいなぁと思っていたけど自分からそんな話は出来ず、どこかの音大に進もうかとぼんやりと考えていた。
「それならさ、うちに来ないか?」
そう言って、菊田さんはぼくらに花沢交響楽団に入って欲しいと言った。
信用金庫の職員として働きながら、地域の人たちの為に演奏する。
その魅力を菊田さんは語り、ぼくらの音色があれば楽団はより良くなる、と言った。
「働きながら音楽が出来るなんて、スゲーっすね。俺、今までトランペット続けるのに親に迷惑ばっかりかけてきたから、働きながら音楽続けられるのはスゲーいいと思いました」
菊田さんの言葉に、杉元くんは感動している様だった。
「藻部原くんはどうかな?」
「え、えーと、将来の事はほとんど考えていなかったので、家に帰って両親にも話して考えたいと思います……」
対して、ぼくはこう答えるので精一杯だった。
杉元くんが行くならぼくも……という気持ちだって言える訳がなかったからだ。
菊田さんはぼくらに名刺を渡すと、帰って親御さんともよく話し合って決めて欲しいと言ってぼくらを駅まで送ってくれた。
「俺、行こうかな。親も働くって言ったらOKしてくれそうだし」
「そっかぁ……」
杉元くんがワクワクしながら話しているように見えて、ぼくはそんな杉元くんの傍にいたかったから、帰宅して両親に話をして、杉元くんと一緒に七國信用金庫に入庫する事にしたんだ。
3月の終わり。
ぼくらは就職試験が楽器の演奏だけで無事に合格し、故郷を離れて七國信用金庫のある小さな港町に引越した。
独身の職員は社員寮に住む事になっていて、ぼくは杉元くんと同じレタㇻハウスという寮に住む事になった。
レタㇻハウスは楽団に所属する団員専用の寮らしく、隣には寮母さんの家がある昔の大きな日本家屋みたいな寮だった。
部屋は八畳ほどで、ぼくは杉元くんの隣の部屋になれたからとても嬉しい気持ちになっていた。
荷物を運び終えたぼくらは少し休んでから昼食を買いに行こうと話し、共用の食堂でお茶を飲んでいると、坊主頭で紫色のトレーナーに黒のスウェット姿の男の人が入ってきた。
「おっ、お前が『不死身の杉元』かぁ。オレは白石由竹、楽団でオーボエやってるんだ。よろしくな」
「よろしくお願いいたします」
気さくに話しかけてくれた白石さんに、ぼくらは声を揃えて頭を下げた後、それぞれ自己紹介をした。
「ここで一緒に暮らすんだ、敬語とかいいから」
「そうそう、他の先輩には敬語の方がいいと思うけど、俺らは気軽に話そうよ。あ、俺は大沢房太郎、楽団ではホルンやってるよ、よろしく」
そこに、杉元くんより背が高くて髪の長い、白いシャツにベージュのズボン姿の男の人が入って来て言った。
「あれ?今年ってもうひとり新人入ってくるって話だったよな?いつ来るんだっけ?」
「あー……どうだったっけ?今日の夜だったっけ?」
「何にせよ、揃ったら歓迎会だな」
ふたりは町の事が分からないぼくらを近くの定食屋さんに連れて行ってくれて、そこでふたりが同じ高校の吹奏楽部に所属していて、大沢さんが白石さんを誘って入庫した話を教えてくれた。
「お前らは中学からの付き合いかぁ〜、大親友じゃん」
「まぁ、そうっすね」
「…………」
先輩方とすっかり打ち解けて仲良くなっている杉元くん。
楽しそうに話す杉元くんの笑顔は相変わらず眩しくて、こんな幸せがこれからも続いていく事がぼくは堪らなく嬉しかった。
ぼくらがレタㇻハウスに戻ると、玄関に見覚えのない靴がある、と房太郎さん(名前で呼んで欲しいと言われたので呼ぶ事にした)が言った。
「来たんじゃない?見に行ってみる?」
という白石さんの一声で、ぼくの隣の部屋に向かうと、全開になった扉の向こうにがっしりとした体格の大柄な男の人がいた。
「よっ!!」
「これからよろしくな!!」
白石さんと房太郎さんの読み通り、男の人は杉元くんとぼくと同期で、谷垣源次郎と名乗り、チューバを担当すると思うと話した。
「思うって、チューバ吹く為に入って来たんだろ?」
「はい、でも、俺、下手だからコンサートとかに出られるかなって……」
「はぁ?下手なら受かってねぇだろ、もっと自分に自信持てって」
谷垣くんはチューバの似合う大きな身体をしているけど、すごく繊細な人に見えた。
夜。
部屋で明日の準備をしていると、夕飯出来たってと白石さんが声を掛けに来てくれて、ぼくは食堂に向かった。
「アシㇼパちゃん、いっつもありがとな」
「気にするな、わたしもここで食べるのが好きなんだ」
食堂にはセーラー服を着た、小柄で青い瞳をした女の子がいた。
「……かわいい……」
一緒に食堂に来た杉元くんがぼそっと言った。
見ると、可愛いものを見て感動している時に見せてくれる、うっとりとした顔で女の子を見ていた。
「紹介するよ、寮母さんのお孫さんのアシㇼパちゃん。小さい頃からフルートやってるんだって」
「よろしくな」
爽やかに話すアシㇼパさんに、杉元くんとぼくは続いて挨拶した。
「白石、尾形はどうした?」
「あー、尾形ちゃん、理事長に連れてかれたんだよね。今日は月に1度の家族デーだからとか言われて」
「そうか。あいつも大変だな」
会話から、この寮にはあとひとり先輩が住んでいる事が分かった。
ぼくと杉元くんはアシㇼパさんを挟んで並んで食事をしたんだけど、ふたりはすぐに意気投合して、楽しそうに話していた。
瞬間、ぼくは何故か、このふたりはいつか結ばれるんじゃないかなって思って、そんなふたりを見ていてとても幸せな気持ちになった。
入庫したぼくは、総務部に配属になり、杉元くんと谷垣くんは本店営業部に配属になった。
総務部はぼくと課長以外は女性職員ばかりで、楽団所属はぼくだけだった。
「藻部原くん、今日、一緒にお昼いいかしら?」
「あ、はい、インカラマッさん……」
ぼくは白石さん、房太郎さんと同期入庫のインカラマッさんによくお昼に誘われていた。
「ねぇ、今度白石くんたちと飲み会する予定なんだけど、谷垣くん誘ってもらえないかしら?」
「は、はぁ……」
「可愛いわよねぇ、彼……」
インカラマッさんは谷垣くんの事を気に入っているのか、一緒にお昼を食べる時は必ずぼくに寮での様子を聞いてきたり、白石さんと房太郎さん主催の飲み会に谷垣くんを誘うようにお願いしてきて、ぼくは断る事も出来ず谷垣くんに声を掛けるのが仕事みたいになってきていた。
「お疲れ〜、もぶはらくん」
「お疲れ様です、二階堂さん」
仕事が終わると、総務部のフロアからひとつ上にあるホールに向かい、練習をする。
パーカッションはぼく以外にふたりの先輩がいて、ぼくは審査部の二階堂さんとよく話すようになっていた。
二階堂さんはドラム系の楽器が得意みたいで、今練習している楽曲ではスネアドラムを担当していた。
「どーお、仕事慣れた?」
「いえ、初めての事ばかりなのでまだまだ緊張しています」
「そーだよねぇ、オレも最初の年はいっぱいいっぱいだったなぁ……」
ニコニコしながらぼくに話す二階堂さん。
そんな二階堂さんだけど、新人歓迎会の時、酔っ払ってぼくに杉元くんが巻き込まれた事故に二階堂さんも巻き込まれていて、一緒にいた双子のご兄弟を亡くされている話を教えてくれた。
「だからさ、杉元がオレの目の前に現れた時はフクザツなきもちになったんだよ。洋平は死んだのに何であいつは助かっただけじゃなくて『不死身の杉元』なんて言われて注目浴びてるんだろって」
と、今にも泣き出しそうな顔をして続けた時、ぼくは何て言っていいか分からなかった。
その日限りの出来事だったけど、二階堂さんと話していると、その時の二階堂さんの悲しそうな瞳を思い出してしまう。
「そうそう、もぶはらくん、秋にカム中の定演にうちの楽団から何人か参加して合同演奏するんだけど、キミ行ってみない?」
「えっ、ぼくが行っていいんですか?」
「うん、例年入庫して間もない職員が行く事が多いから」
カム中。
アシㇼパさんが通ってる中学校、カムイ中学校の略称だ。
一緒に演奏するの、楽しみだなぁ。
アシㇼパさんが夏休みに入ってすぐ、ぼくは二階堂さんが話していた合同演奏のメンバーに選ばれ、シンバルを担当する事になり、土日の練習に参加する事になった。
ぼく以外にも、杉元くん、谷垣くん、房太郎さん、そして、審査部課長で杉元くんとぼくに声を掛けてくれた菊田さんがメンバーとして選ばれていた。
「杉元、谷垣、藻部原、房太郎、支度は出来たか?」
「はーい、アシㇼパさん」
「じゃあ出発だ」
ぼくらは寮母さんが作ったお弁当を持って、一緒に学校に向かっていた。
並んで歩く杉元くんとアシㇼパさんは笑顔で笑いあっていて、ぼくは見ていて心が暖かくなっていた。
寮から歩いて30分くらいの場所にカムイ中学校はあり、菊田さんとは現地で合流した。
顧問で普段は技術の先生をやっているという二瓶先生は、谷垣くんが中学生の頃所属していた吹奏楽部の顧問の先生だったという事で、奇跡的な再会だなぁとぼくは思った。
「先生、どうしてこの町に?」
「海の見える場所に行きたくなってな。それでこの町にたどり着いたんだ。あれから成長したか?谷垣」
「……どうでしょう……」
「ははは、相変わらずみてぇだな。言っただろ?勃起だって」
「はい……」
大柄で豪快に笑う二瓶先生に、谷垣くんはタジタジ……という感じだった。
ぼくらは2曲を一緒に演奏する事になっていて、そのうちの1曲はぼくが杉元くんと初めて一緒に演奏した曲で、感慨深いものがあった。
杉元くんの音色はあの頃も人を惹きつけ、存在感のあるものだったけど、今はあの頃よりも、もっとずっと力強くて、まっすぐ胸に響いてくる。
それに合わせてシンバルを打てる事が、本当にありがたくて、嬉しくてたまらない。
このまま大好きな音楽を、大好きな人と一緒に続けていきたい。
そして、大好きな人が幸せになるのを見守っていたい。
練習を経て、ますます親しくなっていく杉元くんとアシㇼパさんを見ながら、ぼくはそう思ったんだ。
そんなぼくにも運命の出会いが待っているのは、また別のお話……。