攻を人間にしたい①生け贄でやってきた人(人間)を村に帰そうと奮闘する富(健康とかそういうかみさま)
村の因習で百年に一度、生け贄を捧げなければならない。しかし村の子供でそれに該当するのは人と氷だけで、問答無用で氷に決定する。人はそれを許せないので、氷を眠らせて入れ替わる。本当にかみさまとやらがいるのなら直談判出来ないだろうか。
「どうしたの、迷った?」
現れたのは優しそうな雰囲気の男だった。人は事情を話す。どんどん表情が険しくなる男。
「こっち、付いてきて」
ぽっ、と松明が灯る。
「ここから真っ直ぐ下りていけば村の反対側に出られるよ」
暗闇でよく見えなかったが、ぽつぽつと灯っている明かりに民家があることが分かり、ほっとする。
「もうここに来てはいけないよ」
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