負けず嫌いな大人たち ラァルは、セアラとアールバは似ていると常々思っていた。
例えば食の好き嫌いや、自分に対する態度など。それ以上に、性格が似ていた。
一番似ていると言えば──。
「またアールバの負けね! もう辞めたら?」
「…二回しか負けてません! もう一回お願いします」
「あー! 悔しい……もう一回やらせて!」
この日は、ラァルが持ち込んだ、流行りのカードゲームをしていた。
すると、アールバは最初二回負けた。そしてセアラもそのあと一回負けた。二人は、負けると必ず「もう一回」と言った。
二人は、とてつもなく負けず嫌いだった。思い返すと、アールバは普段隠しているが、時折負けず嫌いが出ている時があった。
「セアラちゃんとアールバさんって、似てるよね」
ラァルがそう言うと、睨み合ってた二人はラァルの方を向いて「似てない!」と言った。
それを見たラァルは笑った。二人の表情は、子供のようで微笑ましかった。
二人は負けず嫌いな大人達なのだ。