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    ゆつき

    @yutsuki77

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    ゆつき

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    🍫バレンタインのお話です🍫

    ①ミオルスとフェリチア
    ②ラァルとセアラ、アールバ
    ③ルミナとミハイ
    ④おまけ

    この順番で書いてあります!
    おまけとして、渡したお菓子の意味も載せてあります!

    バレンタイン 2月14日、今日はバレンタインデーだ。
     多くの人々が好きな人にチョコレートを渡したり、告白したりと色めき立っている。


    ***

    「フェリチア様はチョコとか、誰かに渡されないのですか?」
     そう部下に聞かれ、フェリチアは考えた。最後に渡したのは小学生の時、親友とチョコを交換したことくらいで、誰かにチョコを渡すことなど殆どなかった。
    「そうね。渡すことはしないわね。最後に渡したのも親友とのチョコの交換の時だったし……」
     そう、渡すことはしないのだ。
     昼休憩の時刻になると、さっさと仕事を切り上げ、昼食を持って屋上へと向かった。
     まだ誰もいないその場で、先に昼食を取りながら、とある人物を待っていた。
     暫くすると、コツコツと言う足音が聞こえて来た。
    「やっぱりか」
     そう言ったのは、たった今ここに到着したミオルスだった。呆れたような顔をして、フェリチアの隣へと腰かけた。
    「ほら、ちょうだい」
    「はいはい、わかったから」
     ミオルスが取り出したのは、小さな袋に入ったチョコ菓子。
     そう、フェリチアは渡すのではなく、貰う側なのだ。ハロウィン同様、フェリチアがミオルスに強請ったことから始まった、二人にとっての恒例行事だった。
     チョコ菓子を渡すと、煙草に火をつけた。
    「おや、今年は自分で作ったの?」
     そう聞くと、「あぁ」と言う短い返事が返って来た。今まで、市販のお菓子が多かったため驚き、数秒固まってしまっていた。それを見たミオルスは、溜息をついた。
    「違う、昨日ミハイさんの所に行って来て、丁度バレンタインのチョコ作ってたから、俺も一緒に作っただけだ」
    「ふぅん、そうなんだ。食べていい?」
    「どうぞ」
     チョコは一口サイズのものが四つ。ほろ苦いオレンジピールの入ったチョコ、甘酸っぱいベリーの入ったチョコがそれぞれ二つずつあり、飽きが来る前に食べ終わってしまった。
    「美味しかった。ありがとう」
     チョコのように甘い笑顔を見せると、ミオルスも同じように笑った。
    「いいえ、お気に召してくれたなら良かった」


    ***
     
    「セアラちゃん! アールバさん! ハッピーバレンタイン!」
     ラァルは家に着くなり、チョコを二人に渡した。
     甘いものが好きであり、ラァルのことも好きな二人は、喜んで受け取った。二人揃って、ここ最近で最も嬉しそうな顔をしていた。
    「そうだ、ラァルちゃんお茶飲んで行かない?」
    「もちろん!」
     家の中へ入り、アールバがお茶を入れにキッチンへと向かった。
     その間、セアラは貰った箱を開けていた。凝ったラッピングを綺麗に取り、開けてみると、普通のマドレーヌとチョコの色をしたマドレーヌがいくつ入っていた。
    「マドレーヌ! 美味しそうね……。これ、一人で作ったの?」
    「そうだよ! ラッピングもね!」
     自分の妹はこんなにも手先が器用な子なのかと、誇らしげに思った。
    「あとね、マドレーヌ自体は甘さ控えめに作ってあるから、そのままでもいいけど、ジャムとか乗せて食べても美味しいよ!」
     そう言われ、セアラはアールバにお茶のついでにジャムも持って来て貰うことにした。
     お茶を運び終え、皆が席に着いたところで、アールバも一つの箱をラァルに渡した。
    「僕からも、感謝の気持ちとしてこれ」
    「こちらこそだよ。アールバさん、ありがとう! これ開けてもいい?」
    「どうぞ、僕の方も開けるね」
     アールバが渡したものは、カラフルで可愛らしいデコレーションのされたカップケーキだった。
    「か、可愛い……!」
    「迷ったんだけど、こういう可愛いの好きかなと思って」
     そう微笑むアールバ。セアラも気になり、それを覗き込む。
    「ふふ、可愛らしいわね。アールバもほんと器用よね」
    「それ程でもないですよ」
     それぞれが貰ったものを、紅茶と一緒に頂く。その時間は甘く、正しくバレンタインデーというような時間だった。
     ラァルは帰宅し、セアラとアールバだけとなった。食器を片付け終わると、アールバがセアラに紫色のリボンでラッピングされた、小さな袋を渡した。
    「何、くれるの?」
    「そのために作ったんで」
     中身は、キャンディーがいくつも入っていた。これもカラフルで、可愛らしかった。
     口に入れれば、フルーツの甘い味が広がった。何時までもその甘さは続き、幸せな気持ちも続いた。
    「アールバ、ありがとうね」
     この笑顔が一番甘いものだった。


    ***

    数十年前のバレンタインデーの日

     バレンタインデーということで、ミハイとルミナはお菓子を一緒に作っていた。
     と言うのも、どちらかが渡すのはなんだか不公平に感じ、でも渡し合のも何か違うと思い、二人で作るということになったのが、結婚してすぐのこと。それが何十年も続いていた。
     今回作ったのはドーナツであり、ミハイの好みにも配慮して作っていた。
    「すごい美味しそうだね」
    「当たり前よ! ミハイくんと一緒に作ったんだから、絶対美味しいよ!」

     出来上がったドーナツを早速食べてみると、サクッとふわふわな食感で、甘くてつい笑顔になっていた。
     お互い美味しそうに食べる姿を見て、幸せそうに笑った。その空間はきっと、チョコよりも甘いものだ。


    ***

    【おまけ】
    ⚫バレンタインには定番のチョコには「貴方と同じ気持ち」という意味があります。実際には、あまり意味は無いと言われていたりします。ですが、やはり渡す人、渡すチョコによっては意味が変わるのかなと思います。
    ミオルスからフェリチアに渡していましたが、二人に特段深い意味はありません。ですが少なくとも、気持ちは同じかと。

    ⚫マドレーヌは二枚貝がピッタリ重なるところに見立てて、「仲良くなりたい」という意味が込められています。
    ラァルからセアラ、アールバに渡しています。まだ知り合って日が浅い自分にピッタリだと思い、マドレーヌにしたんだと思います。

    ⚫カップケーキには「貴方は特別な人」という意味があります。誕生日や結婚式の前に食べる特別なケーキであったり、他よりも高価という由来があるそうです。
    アールバからラァルに渡していましたが、特別と言うのは大袈裟です。ですが、少なくとも『大切な人』という認識であることは間違いないです。とは言うものの、可愛くデコレーションしやすいものは、カップケーキなのかな……。

    ⚫キャンディは固く割れにくい、味も長く口に残ることから、「貴方のことが好き」や「固い絆」、「長く続く関係」などの意味があります。
    アールバからセアラに渡しています。前者の好きは、恋愛ではなく家族のような意味としての好きをアールバは使っています。そして後者の方はそのまま、アールバの重い気持ちがこもっています。

    ⚫ドーナツのその丸い形には終わりがないということから、「永遠に続く愛」や「貴方のことが大好き」という意味があります。
    夫婦の二人に、どうしても作って欲しかったものです。意味的にも、本名やパートナーに渡すのに最適だと思い、二人に作らせたかったのです。バウムクーヘンも同じように、パートナーに渡すのに最適で迷いました。
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