10月5日、午前。 支えていた手を離れて、よろめきながら一歩、二歩。それから倒れた。最後に、これでいい、と言った。
真田の目の前で、友人が死んだ。家族同然の仲だった。何十分か、あるいは数秒か、立ち尽くしたまま真田は動けなかった。
山岸の啜り泣く声がする。順平の呼吸が震えている。当たり前だ。目の前で人が死んだのだ。コロマルのペタペタという足音と、アイギスの作動音が重なる。帰るのかと思ったが、どうやらもう動かなくなった荒垣の元へ歩み寄っているらしい。岳羽もリーダーも黙り込んだまま一言も喋らない。いや、何も言えないのだろう。肩に何かが触れる感覚で、美鶴が肩に手を置いたのだと気づいた。もう帰ろう、と言外にその目が訴える。真田はゆっくりと首を横に振った。
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