卒業私の「新・魔法史」に載っているセブルス・スネイプは、いつでも正岡子規よろしく、プイとそっぽを向いている。その顔はねっとりした髪で隠れ、表情がよく見えない。
買ってもらって直ぐ、彼の周りを小さなハートマークで囲った時に、「オェー」という顔をして以降、機嫌を損ねてしまったのだろう。撫でてもつついても眉を顰めるばかりで、結局7年間、正面を向いて貰えなかった。
卒業式を来週に控えた今日、手持ち無沙汰な私はスリザリン寮の端っこで、この「新・魔法史」を眺めていた。
大して成績も良くないくせに、この教科書だけボロボロになっている。魔法薬学も好きだったけど、彼が使っていた教科書とは違うと知って、あまり読む気になれなかった。
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