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    1YU77

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    1YU77

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    チートみ八木さんと若者志津摩くんの現パロ話し冒頭
    続きは不明ですが書きたい…
    志津摩くんと友達が八木さんの話してる
    八木さんは一瞬しかでません('ω')!!

    未定①


     


    「やほー、待った……、」
     息を飲み固まった。
    志津摩は人混みを掻き分け友人に駆け寄ったが、半端に片手を上げたまま瞬く。
    「おう、田中ぁ~、こっちこっち!」
     友人はニコニコと手を振り志津摩を呼んでいるが、志津摩は後ろの男に釘付けになっている。薄い紅茶のような色をした瞳がこっちを見ている。びくりと肩を跳ねさせ固まってしまう。蛇に睨まれたように。そんな鋭い吊り目だった。
    体感は長かったが男はざっと一瞥しただけで、建物に背を預けていた身体を離し志津摩からも視線を外す。友人は背も高いし体格もいい方なのだが、その男はそれよりも背が高かった。
    「……ああ、来たんか。じゃあな河野」
     低い錆声だった。低音で低温の声音で友の肩を叩いて背を向け、雲のように喧騒の中へ消え去ってしまった。
    「田中、どうした?」
     ぼーっとしている間に「おいおい」と背を叩く友人、河野に俯けた顔を覗き込まれた。
    「あの人だれ!」
     弾かれたように顔をあげ河野の両腕を引っ掴むと河野は引き気味だ。
    「ええ、あ、さっきの人? 先輩の八木さんだけど、待ってる間たまたま会って立ち話」
     志津摩はじいっと「八木さん」の消えていった人混みを凝視する。
    「あの人、八木さんていうんだ……」
     河野は首を傾げている。「早くメシいこ!」と声掛けられ志津摩は無言のままウンウンと頷いた。この時、志津摩はすでに変な予感はしていたのだ。


    「でさぁ、あいつなんて言ったと思う!? ユキちゃんの方が大事に決まってるでしょう~~!て俺のことひっぱたくんぜ、ひっでええ、そりゃあユキちゃんはかわいいよ俺も大好きよ、けどさぁ~~! ずっと前から約束してたんだよお。おかあさんもいるからユキちゃん見てもらっててもいいじゃん、くそう……」
     居酒屋でぐびぐびビールを飲む河野の話に志津摩は半分上の空で生返事をしている。
     河野は結婚していて素敵な人と仲良く暮らしているのだが、愛犬「ユキちゃん」の体調不良がきっかけで今ケンカ中らしい。予定の旅行がなしになり志津摩は呼び出され飲みに付き合っている。河野は高校時代の先輩だがすっかり同輩のように仲良し。
    「おい、田中きいてんのか! なに、今日は抜け殻だな」
    「エッ、あー……ごめんって」
    「そういや、田中の方はどうなん。この前、恋人できるかも~って話」
     ぎくりとして志津摩は慌てて手を振って否定する。
    「い、いやいや! できてない、できてない!」
     河野は眉を寄せる。じいっとこっちを覗き込んで溜息をついた。
    「あやしい……。ちょっといい感じかも、とか言ってたぞ?」
    「い、言った!? そんなこと!?」
    「言った、言った。そうとう酔ってるときな!」
     志津摩は目を泳がせた。友達の前で飲みすぎるのはよそう心に誓う。
     そんな風になりそうな人なんてもう何年もいないし、志津摩も恋人が欲しいとは思っていなかったはずだ。
    「お前さぁ。ほんとイイコすぎて俺心配になるんだよなぁ、変なやつに捕まらねえかほんとに気を付けて欲しいいわ。あまり危ないとこ行くなよ?」
     ほろ酔いのくせ真面目な顔で心配してくれる河野に志津摩は眉を下げて苦笑いするしかない。ちょっと後ろめたい。
    「まあ、お前が楽しそうならいいんだけど、ヤバイ奴にだけは近寄るなよ」
    「……この流れで言うのもなんだけど、あの、」
    「なになに?」
     ずいと、距離を詰めてくる河野に志津摩はもじもじした。
    「あのー……」
     色々好きなようにしてきたのに何でこんなことで気恥ずかしいのかはいつまで経っても自分でもわからない。やっぱり言いづらい。
    「ああ!」
     しかし志津摩が言うまでもなく河野がピンときたらしい。
    「おまえっ!!」
     志津摩は俯く。じわじわと顔が熱くなる。
    「八木さんはまじでやめとけよ!」
     言い当てられて顔を覆って俯いた。
    「すぐ好きになるんだから!」
     河野に肩をバシバシ叩かれ志津摩は顔を上げられない。
    「だってえ……、まじでかっこいい、」
     そう、とんでもなく「たいぷ」だったのだ。どんぴしゃの一目惚れだ。
    「やぎさんは、男いけないかなぁ……」
     俯いたまま、もそもそ呟くと河野は大溜息を吐いた。
    「男いけるかの話より八木さんは鬼だし付き合いもあんまりよくねえし! イイ奴とはあんま思えないね! 悪い奴ではないけど、おすすめできる男じゃねえよ~!」
     そっかぁ。ともそもそ呟いている間も河野は慰めるようにバシバシと背を叩く。
    「見た目だけだぞ、あの人! それに女の影もめちゃある! あの人相当もてるもん! やめとけ、幸せになれる気しねえ!DVだって噂もあるし、彼女同時進行してるとか、変な噂もめちゃ聞く!」
     そんな風に言われると志津摩はますます気になってしまう。
    「けど、河野くん普通に話してたけど、悪い人なのか?」
     志津摩が首を傾げると。河野まで首を傾げだす。
    「ん。お……? 俺も、悪いことされた覚えはないな、性格きついけど、そういや仕事中だけか。嫌なことしてくるってわけでもないな、仕事は嫌だけど、うーん? でも聞こえてくる噂はさいあくだぞ、火のない所に煙は立たぬっていうだろ、」
     河野も腕を組んで考え始めた。そういえば「実害はない」と。
    「ともかく……女の影はクソある。やめとけって、八木さんが男と付き合えるかは知らんけど、女選び放題の人だぞアレ。入社してくる女子の何人かは八木さんに惚れるって言われてるほどだぞ。食い放題だ! いいなぁ八木さんは!」
     いわれのなさそうな悪口に志津摩は笑ってしまう。地雷男らしいことはわかった。
    「けど、その……八木さん自体が暴力的とか、高圧的とか、そうなの、?」
     河野は目をかっぴらいた。
    「ああ、そうだよ、俺クソ怒鳴られたことある。あの人はあぶねえよ、切れたら手ぇ上げるぞアレ」
     志津摩も腕を組んで考え始める。一応、殴られたことはないが怒鳴りつけてくる奴だと。
    「けど、ミスしたら大けがするような仕事だし……致し方ないとこもあるんじゃ」
    「うへえ、やだよ、今時そんな脳筋! まあ、それもそうなんだが……危険因子だと思います! 田中が狙っても周りにライバル沢山で望み薄いし、万が一イイ感じになっても八木さんは大体いい女に追いかけられているし、性格もキツいしモラハラすると思います! 見た目だけの外れ男だと思います!遊ぶだけの彼氏ならいいと思いますが止めて下さい!八木さん本人はわりと仕事も真面目です!悪気のない地雷男だと思います!真面目なお付き合いには最悪と思います!俺は田中が心配です!」
     はっきり発表されると志津摩は笑ってしまう。河野の気持ちはよくわかった。心配してくれていることもよく伝わったし「八木さん」はともかくおすすめできない物件らしい。
    「元カノからはめっちゃ嫌われてるしな。もうそれが全てだろ」
     河野の溜息にそりゃあ「元カノ」は嫌いだろう、なんて考えながら。
    「けど俺あんなかっこいい人初めて見た……」
     呟くと河野は小首を傾げた。
    「そうか? たしかにかっこいいけど、そんな? すげえ目つきわるいじゃん、坊主だし怖い。ふつうにこわい」
    「そこ~~? なんだろうな、雰囲気? 全体のオーラみたいな、なんだろう、とにかくめちゃくちゃかっこよかったんだって、吃驚したぁ……久しぶりに見た目で好きになりそう」
     正直に吐くと河野はまた焦って立ち上がる。
    「だから八木さんはだめだ! 地雷地雷!」
     志津摩は「そっかぁ」と頷きながらどうしてもあの綺麗な瞳が忘れられないでいた。
    「ああっ!!! ユキちゃんの薬の時間だ!」
    「ええっ!帰って帰って!奥さんまたキレちゃう!」
    「うんうん悪いな!」
     焦る河野を見送りながら志津摩は残ったつまみと酒を独り流し込んだ。
    「八木さんかぁ……名前なんていうんだろう」
     あの切れ長の眼窩に嵌った夕焼けみたいな目が志津摩の心臓を鷲掴みにしてそのまま刺さっている。







    「お兄さんかわいいね、今晩どう~?」
     焼酎を呷っていると声を掛けられた。
    「うーん、そうだなぁ」
    「俺めっちゃ君タイプなんだけど、かわいいしかっこいい」
    「あはは、ありがと」
     志津摩は適当にいなした。
    「俺、今日は背が高くて、吊り目の人がいいなぁーって思ってて」
     相手は「そりゃ具体的だね」と笑ってまた他へ声をかけに行った。
     目が大きくてくっきり二重のきれいな優しい顔立ちの人だった。あの見てくれじゃ引く手数多、一晩の相手に困ることもないだろう。
     今の志津摩はそんな気分じゃない。はっきり言えば「八木さん」みたいな人としたい。
     せめて体格の似た人いないかな。今日はあれくらい背の高い人はいそうにない。
    いつまでこんなことができるんだろうなぁ。
     浮かべながら憂いて酒をかかげて煽った。アルコールが通ると喉が熱い。





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