俺とちとせとオムライス続きちとせは夜になると、窓を開けて月光浴をする。
俺はその護衛も兼ねている。
ちとせは俺を気に入ってくれたらしく、いつも楽しそうにしている。
ちとせは本当に可愛い女の子だと思う。
ちとせはお嬢様育ちで世間知らずなので、常識的なことも知らないことが多い。
俺はそんなちとせをサポートするために色々と勉強をした。
ちとせは病弱だが、とても前向きな性格をしている。
ちとせは吸血鬼を自称しているが、血を吸うことは無い。
ちとせは、自分がいつ死んでもいいように、周りの人間に遺産を残したがっている。
「えへへっ、今日は何の日でしょう?」
「クリスマスイブですね」
「正解! ということでプレゼントをあげるね」
「ありがとうございます」
「はい、これ」
「これは……ネックレスですか」
「うん。綺麗な石がついているでしょ」
それは赤い宝石が嵌まったネックレス。
「ガーネットっていうの。あなたの目と同じ色。気に入ったかしら」
「……はい」
俺はその日から吸血鬼になってしまった。
吸血鬼といっても弱点はあるらしいが。
とりあえず死なない程度のことは聞いている。ちとせは毎晩、寝るまでの時間に物語を読んで聞かせてくれる。
俺はベッドの隣に座って、それを聞くのが好きだった。
俺は吸血鬼だから眠る必要が無いけれど、それでも、好きな子と同じ時間を共有できるのは嬉しいことだった。
ある日の夜のことだ。
俺は寝ていたはずなのだが……ふと目が覚めた時だ。
隣に寝ていたちとせがいないことに気付いたのだ。
(まさか……っ)
慌てて起き上がる。
すると窓が開いていてカーテンが風に揺らめいていて……。
そして―――そこには月を見上げて笑う黒埼ちとせがいた
「ち……」
呼びかけようとしたちゆの口から言葉が消える。
(なんだ、この光景は。まるで絵画みたいじゃないか。ちとせが今にも月に吸い込まれそうになっている。違う。これは現実逃避した頭の中の映像じゃない。確かにちとせは消えてしまいそうな危
「はぁ……ちょっと貧血、起こしちゃったかな」
倒れそうになる身体を壁に手をついて支えた。心臓が激しく動いている音が聞こえる。
(何を見たんだ。何を)
あの光景が脳裏からこびり付いて離れない。思い出すたびに吐き気がする。
(
「あー、そっか」
「ん?どうかしましたか?」
「いいのいいの、独り言」
「……変なちっちゃ先輩です」
「ところでさ、なんであなたはいつも敬語なの? 同い年だよ私たち」
「あー……まぁ癖なんですよね、敬語って。別に気にしないんでいいですよ?」
「そうじゃなくて……私としてはもう少しフレンドリーな感じで接してほしいんだけどなぁ……だめ?」
うるっとした瞳がちとせの目を細める。そんな目で見られると言いづらく