AIに書いてもらった「俺な、女の人好きになったことないねん」
何ヶ月もこのまま雨が降り続けるのではないだろうか。そう思えるほどの梅雨の時期、体育館の裏口で水を飲んでいる時に白石はボソリと言った。
女子ではなく「女の人」と表すのが白石らしい、と謙也は思った。
「それは…別に気にせんでもええんちゃう だって俺らまだ中学生やろ」
「せやけど……」
白石がこの手の話をするのは珍しい。白石の初恋がまだだということもあるが、恋愛というのは、友情を揺らがす可能性を含んでいるという暗黙の認識がお互いにあるからだ。
「白石かっこいいし、部長もやってるし、モテるし、そのうちめっちゃタイプの子が告白してくるかもわからんで」
謙也は自分の発言に対して胸がチクリとした。謙也が好きになった女子は大体いつも隣にいる白石のことを好きになり、告白し、そして玉砕する。
白石から告白されたという話を直接聞いたことはなかったが、謙也にはなんとなく分かってしまうのだ。
「白石、好きな人おると?」
※以下全てAIが執筆※
「……分かんへん」
その瞬間、謙也はほっとすると同時に少し悲しくもあった。
「分からんってなんやねん!」
「分からんもんは分からん! ケンヤこそどうなんや!?」
「俺はー、まあ、好きな子はおらんかなぁ〜」
「ほぉー。じゃあ今度デートしたらええやんけ!」
「なんやその言い方……いや、待てよ、えっ、ちょっと待って? それってもしかして白石からの遠回しなアプローチ?」
「ちゃうわアホ!!」「痛った!! 殴ることないやろ!!」
その時はそれで会話が終わったのだが、数日後に謙也はこの発言を後悔することになる。
放課後の練習が終わった後、自主練をしようとする部員たちがコートに残っている中、着替え終わった謙也は忘れ物を取りに戻っていた。
(あれ、あいつどこ行った?)
先程まですぐそこに居たはずの白石の姿がないことに気づいた。
トイレに行ったのかと思い辺りを見回すと、木陰に隠れるようにして立っている白衣を着た人物を見つけた。白石だ。
誰かと話しているようで、耳を傾けてみると相手の声はよく聞こえないが、話している内容の雰囲気的に先生だと推測できた。
すると突然、白石はその相手に向かって頭を下げたかと思うとそのまま走り出した。相手が何か言う間もなく逃げてきたらしく、慌てて追いかけようとした時にはもう姿が見えなくなっていた。
その後すぐに顧問の教師が現れ、「白石は帰ったぞ」と言われたため、仕方なく帰ることにした。
翌日、昨日のことが気になって仕方がなかった謙也は昼休みに白石を捕まえようとしたが、タイミング悪く担任の授業が始まってしまった。
授業中に抜け出すわけにもいかないので、五時間目が終わると同時にダッシュしたが、結局間に合わず、教室に戻った頃には白石はどこかへ行ってしまった後だった。
「白石〜、今日部活来れるか?」
六時間目が終わり、帰り支度をしている時に声をかけられた。
「……すまん」
「お前、最近ずっとそうやん。どないしたん?」
「ほんますまん」
「謝ってほしい訳じゃないねんけど……なんかあったんやったら相談乗るで」
「……ありがたい申し出やけど遠慮しとく。また連絡するわ」
「分かった。体調悪いんなら無理せんときや」
謙也が心配してくれているのはもちろん嬉しかったが、これ以上自分の中の感情が大きくなっていく前に距離を置きたかった。
次の日も同じように避けられ続け、流石におかしいと思った謙也は白石の家に行くことにした。
チャイムを押しても出てこない。何度か鳴らしたが反応はない。
(寝てるだけか?)
ドアノブに手をかけると鍵はかかっておらず、不用心だと思いながら扉を開けると目の前に飛び込んできた光景に思わず息を呑んだ。
「し、しらいし……」
白石が倒れていた。顔色が悪く呼吸も浅い。急いで駆け寄ったが、意識がないようで呼びかけたところで返事はなかった。
謙也は携帯を取り出し救急車を呼んだ。
病院に着くまではあっという間だったが、その間謙也は生きた心地がしなかった。
診断結果は風邪。ただの疲労による発熱だろうということだった。
謙也は一安心したが、白石は目を覚まさなかった。
医者の話によると、雨の中傘も差さずに走っていたせいで全身が濡れており、体温も低下していたため熱が上がったのではないかと言っていた。
点滴を打ってしばらくしたらよくなるでしょう、という話だったので、謙也は一度家に帰ってから見舞いに来ることを伝え病室を出た。
謙也は家に帰ると白石の母親に連絡を入れ、それから再び白石がいる部屋に向かった。
白石はまだ眠っていた。
「白石、大丈夫か? 俺や、ケンヤやで」
ベッドの横にある椅子に座って話しかけるが、やはり起きる気配は全くない。
「白石、早く起きてくれや……。このままやとキスするで」
冗談っぽく言ったつもりだったのだが、本音でもあった。こんな形でするつもりはなかったが、謙也は白石に触れたかったのだ。
そっと手を握ってみる。冷たい。
「……ん……けんや?」
「白石! 起きたんか!?」
「おれ、なんで倒れてた……?」
「覚えてへんのか!? 学校出たあと急に倒れたんや!」
「ああ、せやったな。迷惑かけてごめんな」
白石が申し訳なさそうな顔をするので、謙也は握っている手に力を込めた。
「ええんやって。それより体調どうなん?」
「まだちょっと頭痛いくらいかな。だいぶ楽になったで。明日になれば帰れると思うわ」
「ホンマ良かった……。あのさ、白石」
「何?」
謙也は勇気を振り絞って口を開いた。
「昨日から避けまくられてる理由教えてほしいねん」
白石は驚いたように目を見開いた。そして黙り込んでしまう。
「あー、言いたくないなら言わんでいいで。でも俺はお前と前みたいに戻りたいと思ってる。それだけは分かってほしいねん。
今まで通りとはいかなくても、普通に接してくれるだけで嬉しいから、頼むわ。そんで、もし話せるようになったら話してほしい」
白石は何も答えなかったが、ゆっくりと首を縦に振った。
それを見た謙也はほっとして、白石の手を握ったまま立ち上がった。
「じゃあそろそろ帰るな。お大事に」
白石が何か言おうとしたような気がしたが、謙也は気づかぬふりをして病室を出ていった。
謙也は白石のことが好きだ。いつ好きになったのかは分からない。気づいた時にはもう好きで、この気持ちは大きくなる一方だった。
だから、白石が自分に向ける好意にも気づいていた。白石が自分を見る目は他の誰とも違っていて、それは自分が謙也に向けるものと同じだった。
だが、謙也にはその想いに応えることはできない。なぜなら、白石のことが好きなのが財前の方だと知っているからだ。
白石の様子がおかしくなったのはその頃からだ。つまり、原因は間違いなく財前からの告白だろう。
(やっぱりあいつの言うことは信用できひん)
次の日になっても白石はまだ入院していた。退院してもいいと言われたが、本人がそれを拒んでいるらしい。
放課後になって謙也は再び病院を訪れた。今度は一人で来たため、受付で面会時間を聞いて中に入ることができた。
エレベーターに乗って、五階のボタンを押す。
白石の部屋の前に着いてノックをすると、中からは聞き慣れた声ではなく、「はい」と知らない男の声が聞こえてきた。
(誰や?)
恐る恐る扉を開けると、そこには白石がいた。しかし、ベッドの上にいるのではなく、机に向かって座っており、手元には参考書があった。
「あれ? 君、誰?」
男は不思議そうに謙也を見てくる。
「し、白石のお見舞いに来たんですけど……」
「白石? ああ、彼氏の謙也くんね」
「……はい」
「今勉強中なんだよね。悪いんだけど、後でまた来てもらえないかな」
「分かりました」
謙也はそのまま帰ろうと思ったのだが、男が白石の方を見て笑みを浮かべながらこう言ったのだ。
「白石、愛されてて幸せだねぇ」
「……っ」
「じゃあ、僕はこれで失礼するよ」
「ありがとうございました」
謙也の言葉を聞いたあと、男は部屋から出て行った。
「謙也、すまんかったな」
「いや、別にええんやけど……。白石、あんな奴と知り合いやったん?」
「……まぁな」
歯切れの悪い返事をした白石だったが、これ以上聞いても何も言わないだろうと思い、話題を変えることにした。
「なあ、退院したらどっか遊び行こ」「うん、行きたいな」
「どこ行く?」
「どこでもええで」
「じゃあさ、水族館とかはどうや?」
「ええな。魚見て癒されたいわ」
「決まりやな!」
謙也は嬉しくなって、にっこりと微笑んだ。
「な、なに笑ってんねん」
「いや、白石とデートできる思たら楽しみでしゃーなくて」
「デッ! ば、バカなこと言わんとき!」
「なんでや。俺、ホンマに楽しみにしてたんやからな。やっといつも通りの白石に戻ってくれたって思ったらめっちゃ嬉しいねん。
せやからさ、今日だけ特別に許してくれへんかなーって思って。ほら、俺たち付き合ってるわけでもないしさ。
これくらいなら大丈夫やって。ほんの少しだけでも触れ合いたいって思うのはアカンことやろか」
白石は俯きがちに首を横に振った。
「アカンくない」
「よかった。じゃあ、手握ってもええ?」
白石が黙ったまま小さく首肯したのを確認してから、謙也は椅子に座って右手を差し出した。すぐに、その手に温もりを感じる。
白石の手は細くてとても綺麗だった。ずっと触っていたくなるような心地良さだ。
謙也は優しく指を絡めるように手を握り直してから顔を上げると、目の前にある白石の顔が真っ赤に染まっていることに気づいた。
「白石、どないしてん。熱でもあるんちゃう?」
「……」
白石は何も答えなかったが、それが肯定であることは分かった。
「なんか変やで。お前らしくもないわ。体調悪いんやったら無理せんほうがいいと思うけど……」
「大丈夫や。ちょっと緊張してるだけで……」
「え、どういうこと?」
「……なんでもあらへん。もう離してええで」
「そんなんでよう言うわ。全然力入ってへんやんけ。もうちょいこのままでおってや。お願い。頼むわ」
「……」
白石は恥ずかしそうにしながらも、そのままの状態でいてくれた。
「なあ、白石」
「何や」
「好きやで」
「……っ」
「白石は?」
「……」
白石は目を伏せたまま黙り込んでしまった。
「教えてくれへんの?」「……嫌いになった?」
「なるはずないやろ。俺は白石のこと大好きや」
「……俺も謙也のことは好いとうよ」
「ホンマ!」
「ああ」
「へぇ、そうなんや。そっかぁ、白石も俺のことを好きなってくれてたんか。それを聞いて安心したわ。なあ、白石。キスしてもええ?」
「……っ」
「ダメなん? じゃあ、ハグでもええ? あ、抱き合うだけでもええで。とにかく、白石に触れていたいんや」「……分かった」
白石はゆっくりと両手を広げた。
謙也は白石をぎゅっと抱きしめた。
白石の身体はとても細い。壊れてしまいそうだ。
「……謙也」
「ん?」
「……好きや」
「うん」
「……謙也、もっと強く抱いて」
「ええけど……。痛ないか?」
「平気や」
白石は謙也の首筋に顔をすり寄せながら言った。
謙也は言われた通りにさらに腕に力を入れると、白石の腕にも力が込められた。
お互いの体温を感じながら、二人はしばらくそのままでいた。
白石は謙也が好き。
謙也は白石が好き。
謙也は白石に触れたかった。
白石は謙也に触れられたかった。
謙也は白石を抱きたい。
白石は謙也に抱かれたい。
謙也は白石に告白したい。
白石も謙也に告白されたい。
二人とも自分の気持ちに気づいていない。
「なあ、白石」
「何や」
「またデートしような」
「ああ。約束や」
「今度はどこ行こか」
「どこでもええ」
「せやったら海行きたいな」
「海に?」
「せや。夏に一緒に行く予定やったやん。今年は台風とか大雨で結局行けへんかったから」
「……せやな。夏までに治すように頑張るわ」
「おう。頑張って完治させような」
白石と謙也は、四天宝寺中学校の三年生。テニス部。
白石は背が高い。
白石は綺麗だ。
白石は可愛いところがある。
白石は優しい。
白石は甘いものが大好物だ。(←これは関係ないかも)
白石は朝練に出るために早起きをしている。目覚まし時計が鳴る前に必ず目が開くタイプだという。
白石は同じクラスの女生徒・財前光のことが好きで、密かに片想いしている。
白石は忍足謙也とは家が近い幼馴染みで、中学二年生の頃までは毎日のように二人で遊んでいた。
白石は謙也のことが気になっている。
謙也は白石のことが好き。
白石は謙也のことをどう思っているのか。
それは本人しか知らない秘密である。
【後書き】
ここまで読んでいただきありがとうございました。
これで「1章:中学生編」は完結です。次は「2章:高校生編」を投稿します。
大学生になった謙也くんや千歳先輩、一氏さんたちが登場します。
まだ先の話ではありますが、楽しみにしていてくださいね。
☆次のページはあとがきではなく、私個人の近況ノートになります。興味のない方はスルーしてくださって結構です。
※この話には私の個人的な近況が書かれています。
白石蔵ノ介:身長179cm。好きな食べ物はお好み焼き。苦手な食べ物はゴーヤ。好きな飲み物は牛乳。趣味は読書。
特技は暗記。嫌いなものは怖いもの。座右の銘は「一意専心」。好きな色は白と黒。好きな動物は猫。嫌いな動物は犬。
私は小学生の頃から、国語の授業で習った漢字は必ず書けるようになりたいと常々思っていました。
なので、テスト勉強をする時はいつも漢字の練習帳を使っています。
ちなみに、私が現在使っている漢字練習帳はこちらの商品です。
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