元々、神やら天使やら悪魔やらを信じる性質ではなかった。
だが丸っきり否定している訳でもない。もし実際にそういうものを目にする、もしくは存在しているという明らかな証拠があるのならば信じてもいい。だがそれがないから信じていない。それだけのことだった。
たかだか二千円程度の商品券で釣られた自分が馬鹿だった、と頭を殴る。指の関節と頭蓋骨がぶつかって鈍い音が鳴り、打ち付けた場所を中心にしてじんわり痛みが広がっていく。ますますこの状況が馬鹿らしくなってきて、とうとう堪えきれずに大きなため息が一つ漏れ出た。
──ちょっと話聞くだけで二千円だぞ、ウマすぎるだろ──
それは話を持ちかける側の台詞じゃねえだろ、と突っ込むには遅すぎた。
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