オベロンは数日ぶりの我が家の玄関の鍵を開けた。
鉄の扉に響く解錠の音。重たい玄関を開けると、冷たい廊下が迎える。
まるで無人のような静けさに、小さくため息をついて「ただいま」と少し大きな声をあげた。
リビングへ続く扉を開けた瞬間、静かで冷たかった廊下の雰囲気は一変する。
視界を埋め尽くすゴミ。食べかけの弁当の残骸があちこちに落ちており、吐瀉物がそのままのバケツまである部屋には耳を塞ぎたくなるような羽虫の音が聞こえる。
その部屋の真ん中で蹲るようにして眠る青年にオベロンは声をかけた。
「ヴォーティ、起きて」
近くには薬の瓶が転がっている。睡眠導入剤だ。
「ん、」
「ヴォーティ…!ほら!!
背後から羽交い締めにして身体を起こしても、自ら起きようとしない。
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