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    sei__yaaa

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    sei__yaaa

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    描け麻負債の小説、お気に入りのやつ
    看守日向と囚人狛枝の狛日

    お題貰った時最高すぎてキャッキャしながら書いた
    途中から何も思いつかなくて唐突に終わります!かなしい!!私が一番続きみたいのに!!

    看守日と囚人狛 ドン、ガッシャァン。

    木造の重い扉を開けた途端、大きな音が廊下に響いた。
    日向はそれを聞き、小さくため息を吐くと特に慌てる様子もなく歩を進めた。
    音が霧散した廊下は酷く静かで、規則正しい革靴の音だけが鳴る。点々と設置された明かりは弱々しく、不規則に明滅を繰り返していた。そろそろ交換しないとなぁ、とぼんやり考えながら少し歩き、一番奥の牢屋の前で足を止める。
    鉄格子の向こうでは炎を思わせる白い癖毛の男が一人、額のあたりを抑えてその背を丸めている。思っていた通りの光景に日向は苦笑いを浮かべた。

    「来たぞ、狛枝。今日はどうしたんだ、また頭をぶつけたのか?」
    「んうぅ、日向クン……」

    狛枝は小さな声でそう言うと、それきり黙ってしまった。相当痛かったのだろう。さっきは音凄かったな、と適当に言葉を投げかけてやりながらその周辺を観察する。鉄格子に、ベッド。奥にある小さな窓。頭の中で項目をなぞりながら牢屋の中を一通り確認していく。
    異常なし。日向は胸中でそう呟き、改めて狛枝に意識を向けた。
    大方石造りの床に足をひっかけて転け、そのまま鉄格子に頭から突っ込んだのだろう。毎度の事ながら、なかなかに間抜けな怪我の仕方をする男である。
    しかし、普段なら深い切り傷が出来ようが、頭から血を流そうが、こんなのいつものことだとすぐにへらへら笑ってみせる狛枝が悶絶しているのを見ると、打ちどころが悪かったのかと少しは心配にもなる。
    仕方の無いやつだな、と日向は鉄格子に一歩近づいた。

    「大丈夫か?血は出てないか?」

    ちょっと見るな、と一言呼びかけてからそっと髪を持ち上げ顔を覗き込む。しかしそこにあったのは、痛みに苦しむ顔ではなかった。

    「なっ」

    してやったりと、弧を描く目。その色素の薄い目には己の驚いたような顔が映る。
    騙された。気づいたと同時に身を引こうとしたが、それよりも早く狛枝が手を伸ばして日向の両腕を掴み強く引いた。
    咄嗟のことに対応しきれずバランスを崩した身体は、容易く鉄格子に打ち付けられる。誰もいない廊下に、小さな呻き声と共に本日二度目の大きな音が響いた。
    そして、カチャリと何かがはまったような音。冷たい金属の感触。見れば、日向の両手首には手錠がはめられていた。
    慌てて己の腰に提げたポーチを確認するも、そこには何も入っていない。いつの間にか抜き取られていたのだ。
    顔から血の気が引いていく。やられた。油断した。

    「あはっ、捕まえちゃった」

    目尻を釣り上げる日向に対し、狛枝はへらりと笑った。
    間に鉄格子を介しているせいで、どれだけ身を引こうとも耳障りな音が鳴るのみでその場から動くことができない。
    囚人に動きを封じられた。しかも己が持っていた手錠で。看守としてあるまじきこの状況に、日向は思わず唇を噛む。
    しかし性格の悪いこの男は、そんな日向の様子にも楽しげに表情を歪めるだけだった。

    「日向クンって本当お人好しだよね」
    「早くこの手錠を外せ、悪ふざけが過ぎるぞ」
    「別にいいじゃない。たまの暇つぶしくらい付き合ってよ。ねぇ、看守さん?」

    冷たく言い放った言葉に悪びれる様子もなく、狛枝は日向に手を伸ばす。
    手錠の嵌められた手首を優しく撫で、そのまま指を絡めて手を繋ぐ。一度、二度と確かめるように握られれば、愛し合う恋人のようなそれに日向の眉間の皺が更に深くなった。

    「おい」
    「ふふ。嬉しいな。ボクみたいなゴミクズに今日もまた会いに来てくれるだなんて」
    「仕事だ。俺の意思じゃない」
    「相変わらずツレナイなぁ」

    日向が逃げられないのをいいことに、鉄格子の間から空いている方の手を伸ばしてその肩に触れる。まるで輪郭をなぞる様に鎖骨を、首筋を、耳をいたずらにゆっくりと撫でていく。その動き一つ一つに、日向の意思を無視して身体がピクリと小さく震えた。
    日向が特別敏感なのではない。狛枝の触り方がいけないのだ。その細く長い指が軌跡を残すように、愛撫するように触れていくのが悪いのだ。
    おちょくられている。遊ばれている。そう自覚すると、なんだか悔しくて腹が立った。
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    sei__yaaa

    PAST描け麻負債の小説、お気に入りのやつ
    看守日向と囚人狛枝の狛日

    お題貰った時最高すぎてキャッキャしながら書いた
    途中から何も思いつかなくて唐突に終わります!かなしい!!私が一番続きみたいのに!!
    看守日と囚人狛 ドン、ガッシャァン。

    木造の重い扉を開けた途端、大きな音が廊下に響いた。
    日向はそれを聞き、小さくため息を吐くと特に慌てる様子もなく歩を進めた。
    音が霧散した廊下は酷く静かで、規則正しい革靴の音だけが鳴る。点々と設置された明かりは弱々しく、不規則に明滅を繰り返していた。そろそろ交換しないとなぁ、とぼんやり考えながら少し歩き、一番奥の牢屋の前で足を止める。
    鉄格子の向こうでは炎を思わせる白い癖毛の男が一人、額のあたりを抑えてその背を丸めている。思っていた通りの光景に日向は苦笑いを浮かべた。

    「来たぞ、狛枝。今日はどうしたんだ、また頭をぶつけたのか?」
    「んうぅ、日向クン……」

    狛枝は小さな声でそう言うと、それきり黙ってしまった。相当痛かったのだろう。さっきは音凄かったな、と適当に言葉を投げかけてやりながらその周辺を観察する。鉄格子に、ベッド。奥にある小さな窓。頭の中で項目をなぞりながら牢屋の中を一通り確認していく。
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