一口じゃ足りない「そういや……あの漫画の続き、何だったかな」
いつもなら通り過ぎるコンビニの前を、今日は立ち止まった。
ガラス越しに見えた記憶に新しい漫画雑誌の背表紙に導かれるように、自動ドアを抜ける。すると、レジカウンター前で店員がおでんの具材を補充しているのが目に入り、数刻前に浦辺家で食したおでんの味が記憶と共にジワジワと口の中に広がっていった。
「新田くん、よかったら今日はウチで食べていかない? あっ、ご飯出来るまで反次が勉強サボらないよう見ていてくれると助かるわっ」
「一言多いんだよっ母ちゃん!」
「ありがとうございます! しっかり先輩のこと見てますんで、安心してください。いやぁ、おでん楽しみですねぇ浦辺さん」
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