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    nekononora

    94とFGO。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
    設定がわからーん!

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    nekononora

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    パーバソ。
    トリさんとバソさんがお喋りしてるよ。
    パも少しだけでるよ。

    #パーバソ

    二人の秘密 古今東西、紀元前の時代からの神も未来のAIだって在るカルデアでは、本人達も予期せぬ恋の花咲く事がある。
     春は花見で花が咲き、夏は夏季休暇で花が咲き、秋は紅葉狩りで花が咲き、冬は雪合戦で花咲く事がある。
     さて。
     この度、夏休暇を経て、カルデアではある花が咲いていた。
     咲き誇っていた。
     それは清き愚か者円卓第二席パーシヴァルと軽妙洒脱の伊達男バーソロミュー。
     主に伊達男のバーソロミューが持ち前の顔と身体と技術と話術を駆使してパーシヴァルに迫り、パーシヴァルは頬を赤くしたり注意したりしながらもしっかりとバーソロミューの手を離さなかったりするので、皆、温かく見守っていた。
     そんな二人がついに数日前、お付き合いを始め、身内の祝い事にガウェインとランスロットはトリスタンの部屋で祝賀会という名の飲み会をひらいていた。
    「少し猪突猛進な所があるパーシヴァル卿だが、バーソロミュー殿なら安心か」と、ランスロット。
    「確かに。上手く誘導してくれそうです」と、ガウェイン。
     ポロローンとトリスタン。
     酒が進み、ほろ酔い加減になってきた頃、ガウェインがそれで、と踏み込んだ。
    「トリスタン卿は何やらバーソロミュー殿と仲良さげな様子」
    「二人で話し込む姿も目撃されているし、私も目にした」
    「疑うわけではありませんが、パーシヴァル卿が気を揉んでいましたよ?」
    「…………ふむ、やはりこうなりますか」
     トリスタンは目を開いたかと思えば、「はい、立って」とガウェインとランスロットを立たせて、壁際に追いやる。
    「霊体化しといてください」
    「どういう事です?」
    「トリスタン卿、説明を」
    「パーシヴァル卿の恋路の為です」
     トリスタンが言い切れば、ガウェインとランスロットは納得しきれない顔をしたものの、霊体化した。
     トリスタンは姿が消えた二人に背を向け、袋を掴み、テーブルに向かえば、グラスを二つ掴んで袋に入れる。そしてそれをベッドの下に突っ込んだ。
     トリスタンはぐるりと部屋を見渡してから、テーブルを囲む椅子のうち二つを掴んで、壁際に置く。
    「さて」
     と、残った一つの椅子に座って、優雅に酒を飲み始め、するとそこにドンドンとドアが叩く音が。
    「トリスタン!! 頼む助けてくれ!!」
    「……全く、またですか?」
     やれやれという風に、トリスタンが立ち上がって歩きだし、開錠してドアを開ければ、そこには泣きそうな顔のバーソロミューが立っていた。







     とりあえず落ち着けとトリスタンはバーソロミューを椅子に座らせ、グラスをもう一個取り出して酒を注いだ。
     そして自分の分の椅子を取ってくると、腰掛けて、一気に酒をあおったバーソロミューに問いかける。
    「それで、今度はどんな困り事が?」
    「……」
    「『愛しのパーシヴァルをえちおねムーブで籠絡大作戦』は成功したんでしょう?」
    「…………」
    「そのまま一気に押し切ってやる。なせばなる! なんて意気込んでいたのは誰ですか?」
    「………………」
    「私は、えぇ、この耳のおかげで貴方がパーシヴァルにえちおね迫る度にうるさすぎる心音が聞こえてきた私は、忠告しましたよね?」
    「……………………」
    「手を握られるだけで口から心臓が飛び出そうになってるくせに、その白々しいえちおね引っ込めないと、後に痛い目合いますよ、と」
    「…………………………」
    「初夜になって案の定、メッキが剥がれて逃走ですか?」
    「うっ」
     じわりとバーソロミューの目に涙が溜まる。
    「泣かない。貴方に泣かれると嘘泣きでもパーシヴァル卿に睨まれるんですよこっちは。因みに前にも言いましたが、私、心音からある程度嘘も見抜きますからね」
    「くっ」
     バーソロミューはけろり涙を引っ込めると、だってだって、と嘆きだす。
    「こっちはもうすぐ四十なんだぞ! 四十路!! アラフォー!!!! そりゃ顔も身体も自信があるが! 相手はあのパーシヴァル!! なら経験豊富なふりした方がいいかと思うだろう!!」
    「で、実際は手を握られるだけで心臓バクバクで、腰に手を添えられて抱きしめられた時には緊張と驚きで気が遠のきかけた技術も経験皆無なアラフォーと。貴方そんなんで、本当にいけると思ってたんですですか?」
    「本とか映像媒体で予習したもん!! いけると思ったんだもん!!」
    「貴方は船の操舵方法を映像だけ見て、いける豪語する人をどう思いますか?」
    「◯ねばいいんじゃないかな?」
     スンッと真顔で答えたバーソロミューにトリスタンは盛大なため息をつく。
     うわーんと顔を手で覆って泣き真似をするバーソロミュー。
     と思えば、ワインを手酌で飲みだす。
    「だって仕方ないじゃないか。だってだって、この見てくれだし? 少年の頃はそりゃ天使のような見た目でそういう目を向けられる事が多くて、近所の悪ガキ共ひきいて自衛という名の襲撃でお小遣いもらったりしてたけど、船に乗ってからは海の仕事が楽しくて……そりゃ風紀を乱す奴はいたが、奥さんや子供の事を知っている同郷の先輩方からの情報で気をつけられたし、それにどこにいっても真面目な兄貴分の古株はいるもので、そこら辺つつけば、そいつ、数日後には魚の餌だったし……。最悪、性病のふりすれば、むしろ寄ってこなかったし。そんなこんなで海賊なったら、恋愛どころじゃなかって……一回ぐらいやっとくんだった! せめて娼婦の誘い一回ぐらいのっとくんだった!!」
    「…………」

    「…………」

    「…………」

    「…………最後の発言は聞かなかった事にしてくれ」
    「ふむなるほど……パーシヴァル卿とお揃いという事ですか」
    「なかった事にしてくれ!!」
     叫ぶバーソロミューと呆れ顔のトリスタン。
    「貴方ほんっっとうにそんなんで流れでなんとかなるとか思ってたんですか? いつもの知将ばりの頭の良さどこに落としてきました?」
    「まともな恋愛一つした事ないんだよ!! いっっつも男にも女にもいきなり押し倒される事前提で先回りして回避するか防衛するかで! 自分からってなると経験がなく! 経験がないからイメージするしかなく! ならば身近に参考になるロールモデルをと思っても、まだ参考にしたいと思ったロールモデルは自分の肉体と話術で客とってた娼婦のルナお姉ちゃんだけで! そのお姉ちゃんがベッドに入れば後は流れでなんとかなるって言ってたから!! 精通もまだなガキをけむに巻く言葉でもそうなのかなーって!」
    「貴方、自分でも違うかなーとか思ってても、自分の事になるとアクセル踏み込むところありますよね……」
     やけ酒だー、とワインをガブガブ飲み始めたバーソロミュー。
     トリスタンはそういえば、と思いだしたように問う。
    「貴方、助けてくれって来ましたけど、何を助けて欲しいんです?」
    「…………」
    「バーソロミュー?」
    「…………パーシヴァルにどう謝ったらいいのか、共に考えて欲しくて……」
    「……」
     冷や汗をダラダラ流して目線を逸らすバーソロミューを、トリスタンは瞼をあげて金の目で見やる。
    「……えっと……」
    「初夜をどう失敗……というか何かやらかしましたか?」
    「…………びっくりして、その、思いっきり」
     バーソロミューは一旦、ここで言葉を区切り、蚊の鳴くような小さな声で告げる。

    「蹴った」

     その言葉にトリスタンは眉間に皺を寄せて額を手でおさえ、深いため息をつく。
    「貴方、清き者の初夜でなんて事を……トラウマになったらどうするんです。今すぐ戻って謝ってきなさい」
    「だって! 大きくて!!」
    「パーシヴァル卿ですよ!? あの身体ですよ!? 想像できたでしょう!?」
    「想像以上だったんだよ! あんな膨張率ありかってほどで!」
    「まさか貴方、起動状態の蹴りました!?」
    「50パーセント状態のを!」
    「聞いといてなんですが聞きたくない!!」
    「頼むトリスタン! どうやって謝ればいいか共に考えてくれ!!」
    「全て吐露して誠心誠意謝りなさい。以上」
    「見捨てないでー!!」
    「見捨ててないです。というかですね……私、パーシヴァル卿にも同じ警告をしてるんです」
    「……?」
     首を傾げるバーソロミューに、トリスタンは疲れた表情で告げる。
    「『いい加減にしないと痛い目をみますよ』と」
    「なぜパーシヴァルが痛い目をみるんだい?」
    「自分の為に精一杯演技してる姿が可愛いからともうちょっともうちょっとで放置してたからですね」
    「……え」
    「あのですね、パーシヴァル卿は確かに愚か者ですが、愚鈍ではなく、下手をすると貴方より恋愛経験ありますよ? あ、パーシヴァル卿もきましたね」
    「え? え?」
     トリスタンが耳を澄ませ、バーソロミューは慌てて立ち上がって逃げ場がないか部屋を見渡す。
     程なくしてトントンとノックの音が聞こえ、パーシヴァルの声が聞こえてきた。
    「あのトリスタン卿……バーソロミューはいるだろうか?」
     バーソロミューは両手でバツマークを作るが、トリスタンは「はいいますよ」と立ち上がってドアを開ける。
     眉を八の字にして、見るからにしゅんと萎れたパーシヴァルが立っていた。
    「バーソロミュー」
    「ひゃ、ひゃい!」
    「すまない。貴方触れてくる手が汗で濡れていて、腕が当たるだけで貴方の鼓動が早鐘のように打っているのには気づいていたんだ、口付けの時は目をきつく閉じて息を止めてプルプルしてるし、勢い余って歯を当ててくるし、舌があたるだけで硬直するし、」
    「ぱ、ぱ、パーシー!!?? ちょ、ちょっと待とうか!!」
    「頑張って身体に触れてくれたが、正直、力入りすぎてマッサージでそれはそれで気持ちよかったが、」
    「パーシー!?!?」
    「そんな貴方は時に猪突猛進で予想の斜め上をいくと知っていた……だが請われ、見せるだけなら真っ赤になってお日柄が良くないとか言って逃げる貴方も可愛いだろうなと悪戯心が……」
    「そんな台詞で逃げないよ!?」
    「騎乗位しようとして、上に乗ったはいいが、そこからどうしていいか分からず、鍛えられた筋肉は柔らかいって聞いてと誤魔化して、結局筋肉を確かめる事もせずに、」
    「そんな事もあったね!」
     バーソロミューが褐色の頬ををこれ以上赤くならないほど赤く染める。
    「なので全面的に非は私に」
     パーシヴァルは赤くなって慌てているバーソロミューと一気に距離を詰めると、ひょいと横に抱き上げた。
    「!?!?!?」
    「これからはしっかり話し合い、二人のペースで進めよう」
    「わか、わかったから、おろ、おろし、お姫様だっこはまだ早いぃぃ」
     顔を覆って呻くバーソロミュー。
     パーシヴァルは「良かった。では私の部屋で話そう」とニッコリ笑って歩きだす。お姫様抱っこしたままで。
     トリスタンはそんな二人をひらひら手を振って見送り、ドアを閉め、施錠し、テーブルに戻ると残っていたワインを一気飲みした。
     そして空のグラスをテーブルに置けば、ガウェインとランスロットが霊体化した方向を見る。
    「では飲み直しましょうか。卿等は私の苦労話、夜が明けても付き合ってくださいますよね?」
     霊体化をとき、姿を現したガウェインとランスロットは深く頷いた。
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