Sunny place「あなたの歌う場所は、誰にも。世界一の怪盗にだって、奪わせたりしません」
「……それは、素敵なショーの代わりに宝物を一つ盗んでいくような人にも?」
オレの言葉に、おどけたClownーーいや、一織が。一瞬ぽかんとした後ニヤリと笑う。
「ええ、もちろんです。玄関で追い返しますよ」
「ふふ、玄関って。でもなんか一織なら、本当にできそうな気がするなぁ」
きりりと上がった眉、切れ長の瞳。すらっとした体つきに、彼の心を表したかのようなまっすぐでしなやかな黒髪。
今日もめちゃくちゃかっこいいこの目の前の男が、オレの唯一無二のプロデューサーで、そして。
「でもね。奪って良いよ、一織なら」
「へ?」
「オレの歌う場所。一織なら良い」
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