宜なるかな恋人の日 ガタン、ゴトン。
メフィストフェレスでの移動の最中。揺れるバスの中、ガタゴト跳ねる身体を窓へ凭れる事でそれとなく抑えながら、ダンテは街中で見た光景を思い出す。ぼんやりと昼の出来事を頭の中に浮かべてから、自分の横にある本日の戦利品をジッと見つめていた。
街中を囚人達と歩いている時。ふとキョロキョロ顔を動かして、そこかしこに並んでいるショーケースへと視線を向ける。
何気無しに見たものの、色々な物が売っているのだと感心しつつ、恐らくは商品であろう品々をゆったり眺めていく。ダンテは歩きながらも様々な品を視界に映していたが、突然ぴたりとその動きを止めてしまった。後ろに続いていた囚人が「どうしたんだ?」やら「何かあったのー?」やら、騒がしくしているのをダンテは何も言わずにスルーして、くるりと振り返り背後に居たウーティスに何が売っているのかを尋ねている。
11012