Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    グ飴ミ

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    グ飴ミ

    ☆quiet follow

    #小説
    novel
    #幽霊
    ghosts
    #呪い
    curse

    呪いいつも彼女が用意してくれていた毎朝のコーヒーは今日も用意されていない。
    僕はあの日彼女と喧嘩して以来、口を聞けていない。
    「ごめんね」
    たった一言。この言葉を言えていれば彼女を苦しませなかったのかも知れない。
    だが、それももうできない雰囲気で、
    別れることもできず、ただただこの二人の家で時を過ごしている。
    コーヒーの飲めない彼女は僕の目の前で紅茶を一口。
    僕は彼女を眺める。
    次第に涙目になれば「ごめん。ごめんなさい。」と掠れた声で泣き出してしまう。
    「いいよ。僕もごめん。」
    そう言って彼女に微笑みかけてもその謝罪が消えることはなかった。
    彼女に手を伸ばす。
    優しく撫でようとしたその頭を、僕の手はすり抜けてしまう。


    喧嘩したあの日。
    イラついて飛び出していった僕は、居眠り運転のトラックに
    轢かれて死んでしまった。
    本当は僕が悪いのはわかっていた。なのに誤りもせず、僕は……
    「もう…いいんだよ」
    僕が死んで丁度一年。
    僕は彼女に一生モノの消えない呪いをかけてしまった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🕔
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    櫂 詫人

    MOURNINGとうらぶ 陸奥守吉行が審神者を斬った話。
    昔ブラック本丸が流行っていた時に「人を殺めるのに使われなかった初期刀を処刑に使われるっていいよね!」ってノリで書いたもの。冒頭のみ。
    こわれた吉行と本丸最期の日
     陸奥守吉行は初めて顕現された刀であり、誰よりも早く限界まで鍛え上げられた刀だった。
     もうこれ以上伸びることはないと感じ始めてから、初めて彼は一番隊を外され、他の部隊で戦慣れしていない刀の手伝いを任された。
     ある程度他の刀剣達も実力を付け、彼と同じく後輩刀を警護・引率するようになると、今度は遠征部隊へと配属された。成長の限界を迎えているため、任務達成してもただ満足感を得るだけだったが、実力のある彼がいればより長時間の遠征ができるし、お宝を持って帰れるので、別段損とは思わなかった。
     本丸に戻って結果を報告し、また長旅へと出る──その繰り返しだった。以前と比べ主と顔を合わせることはめっきり減ってしまったが、いつでも暖かく迎え労ってくれるため苦にはならなかった。むしろ遠征報告を楽しみに待っていてくれると思うと、自然と身に力が入った。
     そんな中、いつもどおり遠征から戻ってくると、本丸が妙にざわついていた。けしてそれは良い空気ではなく、むしろ不穏な気配さえ感じた。見知らぬ人間達が本丸内を占拠しており、中には刀剣の誰かと口論になっている声も聞こえる。
     胸騒ぎと 3622

    k_kuraya

    DONEベレトの眷属にならなかったディミレトの幸せについて考えた、二人の約束についてのお話です。転生を含みます。【約束の果てに 1−1/2】

     澄み渡る青空に白い花が舞うのを、ディミトリはベッドボードに背中を預けながら眺めていた。今年も降雪の季節がやってきた。あの花弁は一枚一枚がとても冷たく、明朝には降り積もってフェルディアを白銀に染めるだろう。
     居室の窓は大きな造りで、ベッドの上からでも外の景色がよく見える。暖炉の中の薪がパチパチと乾いた音を立てており、室内はまどろむような温かさがあった。桟に僅かに積もった雪が室温に温められて溶けていく。
     冬季が長いファーガスでは毎年早い時期からの冬支度に余念がないが、春の訪れを待たずに凍えて死ぬものも、餓えて死ぬものも、今はいない。民には豪雪でも耐え抜く強固で温かい家があり、温暖な季節の蓄えも十分にある。雪が深く積もれば生活の不自由さは享受しなければならないが、それでもかつてのように貧しさゆえの辛酸を舐めることはもうないのだ。
     ディミトリは雪が舞うのをただ静かに見つめている。
     ファーガスは元来、王を戴き女神を信仰する騎士の国である。勤勉で清廉、信心深く辛抱強い国民性は、この雪とともに育まれたように思う。だからだろうか、ディミトリは真っ白な雪を見ると 5258