私は一つ鍵を持っている。黄金に輝き、真紅のリボンがつけられた鍵を。
マロンクリーム王国の城の中、限られた従者のみ伝えられている最深部に、その鍵を使える部屋がある。扉の鍵穴は低い位置にあり、私が屈まないと扉を開くことはできない。
カチャン。
鍵を奥まで差し込み、少しだけ力を入れて回せば簡単にこの部屋は開く。私とマロン様が好きな赤色の絨毯やクッションが敷き詰められ、棚には非常食が大量に置かれている。絨毯やクッション等はマロン様が、非常食は私が買い揃えたものだ。
城の奥底の部屋がこんな部屋になったのは理由がある。
「ロマリシュに渡したいものがあるの」
マロン様に連れられて、入った部屋は何一つ物が置かれていない、殺風景な部屋でした。城にこんな部屋があることを知らなかった私はとても驚き、マロン様の方を向きました。手を差し出すように促されて、両手を彼女の前に広げる。
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