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    全てに疲れて高専を退学してきたその足で離島に移住した夏油傑が、どうやらネグレクトを受けているらしい隣の家の幼女と一緒にご飯を食べたりする(予定)

    #夏油傑
    xiaYaoge
    #夢術廻戦
    yumejutsuPurosho

    夏油傑、島に住む夏油傑、島に住む

    全てに疲れて高専を退学してきたその足で離島に移住した夏油傑が、どうやらネグレクトを受けているらしい隣の家の幼女と一緒にご飯を食べたりします。




    「ああ、マズイな。台風か」

    夏油はなんとなくつけっぱなしにしていたテレビから聞こえた週末の天気情報に、寝転んでいた身体を起こした。

    ペタペタと足音を立てながら暗い廊下を歩き、適当なサンダルを履いてガラリと引き戸を開け外に出た。

    そろそろ日没なのだろう。水平線に沈む太陽に目を細めた夏油は家の周りをぐるりと一周して状態を確認した。雨風にもっていかれそうな箇所は一応なさそうであった。

    夏油はその足で三軒先へ歩いて行って、半分閉まったガラス戸をコンコンと叩いた。軒先に吊り下げられた色褪せた風鈴がチリインと音を立てる。

    「はいよ、あら傑ちゃん。こんばんは」
    奥から出てきた腰の曲がった愛想のいい老婆に、少しの世間話と、それから普段より多めの注文をする。
    台風に備え、物資を蓄える必要があるからだ。

    「傑ちゃんのおうち気を付けてね、ずっと空き家だったでしょう。もし脆くなってるところがあったらね、裏の西河原さんに頼んだらいいからね。傑ちゃんいっつもお手伝いしてるから、きっと喜んで直してくれるよ」
    「はは、はい。ありがとうございます。」
    「でも、傑ちゃんのお隣さんも心配よねえ。ほら、あそこもずーっと空き家だったけど、新しい人が来るってなったでしょう?壊れないといいけど…」
    「入居、まだ先なんでしたっけ」

    小さな商店の棚には菓子パンやら日持ちする菓子が数種類、あとは米だとかこの島でとれた野菜なんかが手書きの値札をつけられて並んでいる。

    「ううん、近いはず。いつだったかねえ、来週だとか、その次の便だとか…台風のすぐ後だから修理も間に合うかどうか…」
    「…じゃあ少し様子見ておきます。引っ越して来て早々修理なんて可哀想ですしね」
    「あらあ助かるわ。じゃあ、水曜日の便でお荷物届くから、取りにおいでね」
    「ありがとうございます。」

    夏油は少しばかり屈みながら店を出た。
    この島の建物は日本人離れした体格の夏油にはどれもほんの少し小さい。

    夏油は両ポケットに手を突っ込んで海と道路のギリギリを歩いて帰った。
    コンクリートへ波が打ち付ける音を聞きながら歩くのは心地が良かった。
    たまに通る軽トラと原付。それ以外は殆ど人工的な音のしないこの島へきて、一か月になる。高専は辞めた。中卒の秋である。
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