ショタ伊集院とロリ光「なぁ、さむいのか?」
「……べつに、さむくない」
寒さで鼻の頭を赤くしているくせに、そう強がった少年に熱斗はなにやら考え込むとすぐに表情を明るくさせる。
そして手袋を外すと少年の白い頬を両手で包み込んだ。
「おい!おまえなんのつもりだ、」
「オレがあっためてやるよ!」
頬に伝わるじんわりとした暖かさに目をぱちぱちと瞬かせながら少年が熱斗を見つめてくる。まん丸に見開いた青い瞳に、熱斗が宝石みたいだなぁ、と口に出せば少年はハッとした表情を浮かべた。
「はなせ…っ!」
「やだ!おまえのほっぺがあたたかくなるまではなさない!」
やめろ、いやだの押し問答を何度も繰り返しているうちに、熱斗の手のひらから伝わる温度が少年の頬に移ったようだ。
微かに赤く染った少年の頬に満足した熱斗は手を離すと、今度は少年の手を握りしめる。
「おまえ、いいかげんに…!」
「おーい熱斗!」
少年の後ろに、小走りでこちらへ向かってくる父親の姿が見える。
「あ、パパー!」
「またせたね……って君は伊集院さん家の、えーと、」
「炎山です」
「そうそう炎山くん。熱斗と遊んでくれてたのかい?」
どうやら少年と自分の父親が知り合いだったようで、目の前で世間話をしている2人を見ながら熱斗は少年の手が暖かくなってきたことに気がついて手を離す。
「ところで父はいつごろ戻って、」
少年の言葉を遮るように、少年の父親らしき男性が現れた。すると、少年はベンチから降りると頭を下げて男性の方へと向かっていく。その背中を見送りながら熱斗はそういや名前聞いてなかったな、と少しだけ冷たくなった手に手袋をつけた。
「で、その後そいつとは会えてないんだけど元気にしてっかな〜」
来客用のソファを陣取りながらそう言った熱斗に炎山が椅子から立ち上がると、熱斗の隣へ腰を下ろした。そして手持ち無沙汰にしている熱斗の両手を自分の方へと持っていく。
「炎山、お前なにして…」
「頬が冷たくてな」
炎山の言葉に熱斗が目を見開く。
その様子がお気に召したのか、炎山は楽しそうに笑うと熱斗の手のひらに頬を擦る。
「暖かくなるまで離さないんじゃ無かったのか?」
「……しょうがないからオレが暖めてやるよ!」