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    完成しました

    光熱斗︎︎ ♀です

    光熱斗が色んなものを送られる話栗毛色の髪の少女がその場でくるりと回れば、美しい青色のドレスがふわりと広がる。
    机に置かれたPETからわぁ、と驚きの声が上がった。その声に、少女は笑みを浮かべてPETに向かって話しかけた。

    「へへ、どうだロックマン!」
    「とっても似合ってるよ熱斗くん!」

    そう言ってPETから飛び出してきたホログラム体のロックマンは、緑色の瞳をキラキラと輝かせながら熱斗の周りをクルクルと回る。
    相棒であるナビからの真っ直ぐな褒め言葉に熱斗が頬をかきながら感謝の言葉を告げれば、楽しげな表情を浮かべたロックマンが口を開いた。

    《熱斗くん!せっかくだからメイルちゃんにも見せに行こうよ!》
    「えぇ!やだよ恥ずかしい」
    《ええ〜でもパーティー会場に着いたら合流するんでしょ?》
    「それは…、そうだけどさぁ…」

    この格好で廊下を歩くのはなぁ…とボヤいている熱斗にロックマンはそれならと微笑む。

    《僕がメイルちゃんを呼んでくるから、それまでここで待っていてよ。ね?》
    「それなら…いいけど」
    《じゃあ今からメールを届けてくるね!》

    そう言ってロックマンはPETの中に潜り込むと、インターネットを辿り別室にいるメイルのPETへと向かっていった。

    ********************

    「きゃー!熱斗ってばすっごく可愛いじゃない!!!」
    「うわ、ちょ、メイルちゃん!!」

    キラキラと目を輝かせながらメイルは熱斗に抱きついた。自身のナビであるロールも同じように目を輝かせて熱斗の周りをくるくると回りながら、近くにいるロックマンと共に熱斗を褒める。
    それが恥ずかしいのか熱斗の耳が赤くなっていることに気がついて思わず笑みがこぼれた。

    「ねぇ、熱斗。せっかくだから一緒に写真撮りましょう?」
    「え!?絶対やだ!」
    「なんでよ!」
    「やいとちゃんとかに見せる気だろ!!」
    「それの何がダメなのよ!!」

    撮らせて!やだ!とワーワーキャーキャー押し問答しているオペレーター二人に、ロックマンとロールは相変わらずだね、と苦笑する。しばらく見守っていた可愛らしい言い争いはどうやらメイルに軍配が上がったようで、仲良く頬をくっつけながら簡易カメラを構えていた。
    シャッターを切る音が数回聞こえた後、上機嫌に鼻歌を歌ったメイルが先程撮った写真を見せてくる。
    そこには満面の笑みのメイルと恥ずかしさから頬を染めてそっぽを向いている熱斗が写っていた。

    《ふふ、2人ともとっても可愛いわ》
    《良かったね熱斗くん!》

    ナビ達の言葉に素っ気なくそりゃどーも、と返す熱斗にメイルはそういえば、と自分のバックから小さな箱を取り出すと熱斗へ差し出した。

    「はい、これ熱斗にあげる」
    「なんだこれ?」
    「ふふ、いいから開けてみて」

    メイルに促され、熱斗が手渡された箱を開けると中にはピンク色のキラキラとした石が埋め込まれたリングが入っていた。

    「え、これって」
    「この間やいとちゃんとお買い物に行った時に一目惚れして買ったペアリングなんだけど…その、もう一個は熱斗にあげたいなぁって思って…」

    どうかな?と聞いてくるメイルに、熱斗はぱちぱちと目を瞬かせる。そして箱に飾られていたリングを自分の中指にはめるととても嬉しそうに笑った。

    「ありがとなメイル!」
    「……っ、えへへどういたしまして!」
    《メイルちゃんたら…まるでプロポーズみたいだわ。ね、ロックマン?》
    《あ、あはは…そうだね…、》

    ********************

    「それじゃあ、やいとちゃんと待ち合わせしてるからまた後でね!」
    《じゃあねロックマン!熱斗さん!》

    そう言って廊下を進んでいくメイルを見送ったあと、ロックマンとしばらく談笑していた熱斗は喉の乾きを覚える。
    確かこの近くに自販機があったよな、と思いながらロックマンに飲み物買ってくる!と声をかけて部屋を出た。
    人気が少ない場所とはいえ、細心の注意をはらいながら廊下を進んでいく。
    普段の倍近い時間をかけてたどり着いた自販機は、科学省の中に設置されているにしては珍しく栄養ドリンクでは無い飲み物がずらりと並んでいた。
    そういえばこの間これが美味しいっておすすめされたよな、と炭酸飲料のボタンを押す。
    ガコン、と落ちてたきた冷えた缶を取り出し、部屋に戻ろうと振り返った熱斗に影がさした。
    咄嗟に避けようとしたが間に合わず、軽い衝撃を受けてその場に尻もちを着いた。幸いにも痛みはなく、熱斗は目の前に差し出された手を取りながら謝罪の言葉を口にする。

    「すみません前見てなくて…ってライカ!」
    「……なんだその格好は」

    ぐい、と遠慮のない力で引っ張りあげられた先の仏頂面に、熱斗は久しぶりだな!と呑気に挨拶をする。
    あぁ、と告げられた短い言葉と僅かに顰められた表情は早く状況の説明をしろと訴えてきていた。相変わらずだな、と苦笑しながらこれからパーティーがあること、それに合わせたドレスを着ていることを説明すると、その場でくるりと回った。

    「どう?」
    「どう、とは?」
    「なんか感想とかねーの?例えば似合ってるぞ!とか」

    熱斗の言葉にライカは顎に手を当てると何やら考え込み始めたかと思えば、熱斗を真っ直ぐと見つめてくる。

    「な、なんだよ」
    「似合っているぞ」
    「…なんか適当な気がするけど、ありがとな!」

    ライカに褒められたってロックマンに伝えよう、と上機嫌な熱斗の姿を横目に見ながらライカは本心なんだがな、と小さくつぶやく。
    青いドレスと太陽のような明るい笑顔は、故郷では決して見ることの出来ない晴天を思い出していると、熱斗の指にきらりと光るものを見つけた。
    小粒だがしっかりと己を主張しているピンク色の石に、ライカの脳裏に熱斗の幼なじみの少女が浮かぶ。
    まさかこんなにもわかりやすい牽制をするとはなかなかやるな、と感心しつつライカはコートのポケットから小さい箱を取りだして熱斗の方へ投げる。

    「お前にやる」
    「え、別にいいよ」
    「オレには必要ないものだ」
    「えぇ…なんなんだよ急に…」

    熱斗は半ば強制的に押し付けられた箱を開ける。すると中には小さな緑色の石が飾られたイヤリングが入っていた。

    「え、いいのこれオレがもらっちゃって」
    「日頃の礼だ」
    「もしかしてわざわざ買ったの?」
    「いや任務の報酬でもらったのだが、オレはそういうものはつけないからな」
    「あーはいはいそういう事ね…なぁ、これ今つけてもいい?」
    「勝手にしろ」

    それはもうお前のものだ、と素っ気ないライカとは正反対に、熱斗はやった!と目に見えて喜びながら箱から取りだしたイヤリングを耳に飾る。

    「へへ、どうだ?」

    そう言いながら熱斗が頭を揺らす度に、緑色の石は光を受けてキラキラと輝いた。

    「…あぁ、とてもよく似合っている」

    その姿にどこか心が満たされたライカの手が熱斗の耳を飾るイヤリングを優しく撫でる。
    そうしてしばらく談笑していると、ライカのPETが着信を知らせる。

    「すまない、これで失礼する」

    そう告げるとライカはそうそうに熱斗へ背を向けて廊下を進んでいく。
    その後ろ姿を見送った熱斗はロックマンを待たせてた!と急いで部屋に戻る道を走っていった。

    「ただいまロックマン!」
    《熱斗くん遅かったね……ねぇ、そのイヤリングは?》
    「さっきライカにもらった!それでライカに似合ってるって褒められた!」
    《そっか……とっても似合ってるよ熱斗くん!》

    ********************

    「疲れたぁ〜…」
    《熱斗くん、お疲れ様》

    ふよふよと浮かぶロックマンに疲れた表情の熱斗がほんとだよ…、と小さく愚痴をこぼした。その姿にロックマンは苦笑しつつも無理はないか、と労わるように熱斗の頭をポンポンと撫でる。
    ホログラムでの体では触ることなど出来るはずもないが、気持ちだけでも、と移した行動に熱斗は照れくさそうに笑う。

    「へへ、ありがとうロックマン!」
    《ふふ、どういたしまして! あ、そういえばさっきメイルちゃんからあと少しで着くって連絡が来たよ》

    ロックマンの言葉に熱斗の表情がパァ、と明るくなる。先程まで見ず知らずの大人に話し掛けられては懸命に頭を回していた熱斗にとって、顔なじみがもうすぐ来るという知らせは何よりも嬉しいものなのだろう。
    ようやくいつもの明るい笑顔を見せて早く来ないかな、と期待に胸をふくらませている熱斗の姿につられるように微笑んだロックマンの視界の端に見慣れた白と黒が移る。
    しかしすぐに移動してしまった。

    「ん?ロックマンどうしたんだ?」
    《えっと、さっき炎山がいたような気がするんだけど…》
    「似たような奴がいたとかじゃないの?」
    《でも白と黒の髪の人って少なくない?》

    気のせいだってー、と呑気に笑う熱斗にロックマンがそうかなぁ、と首を傾げていると一人の男が近付いてきた。

    「やぁ、君が光さんの家の娘さんかい?」
    「こんばんは。父でしたら今別の方のところに挨拶に行ってます」
    「そうか後で挨拶に行かせてもらうよ」

    そう言って微笑む男に熱斗の心がどんよりと落ち込む。もう少しゆっくりと休みたかったがしょうがない、と熱斗は疲れた表情を見せまいと笑みを浮かべて男の話に付き合う。

    「ところで君は今、良い相手とかいるのかい?」
    「へ?良い相手……?」

    男の言葉にキョトンと目を瞬かせる熱斗の耳元でロックマンが恋人とかだよ、と小さく囁く。

    「えっと、いません……?」

    この返答で合ってるのか?と眉を下げる熱斗にロックマンは大丈夫だよ、と声をかけてから男を見る。大方、この後に自分の息子でも紹介する気だろう。
    隙をついて何とかこの話を中断させられないだろうか、と考え込んでると男がそうか!と楽しげな声を上げた。

    「それならばうちの息子は如何かな?私が言うのもなんだが顔も整っている方だし、なにより君のような素晴らしい子ならばうちの息子もきっと気に入るに決まっている!」

    どうかね、と興奮気味に語る男に熱斗は苦笑いを浮かべながら後ずさる。

    「えっと…オレ、じゃなかった私にはそういった話はまだ早いかな〜って、」
    「そうだ!今日に息子を連れてきているんだせっかくならば一緒に話そうじゃないか!」
    「えっ、いや、あの、」

    こういった場に出るのが初めてな熱斗にとってこういう場合の対処法など分かるはずもなく、興奮気味どころか完全に興奮してる男に気圧されてしまっている。
    もちろんホログラム体のロックマンに何か出来るはずもなく、いくら男にやめてください、と声をかけようも男の耳には届かない。

    《熱斗くん!警備員さん呼んでくるね!》
    「頼んだロックマン!…あの、だからオレは会わないってさっきから言って、」

    すぐ呼んでくるからね、とPETの中に戻ろうとしたロックマンが気配を感じ顔を動かすと、先程見かけたが白と黒のツートンカラーが特徴的な男──伊集院炎山がこちらの方へと向かってくる。男の相手で手一杯なのか、背後に立った炎山に気付かない熱斗の方に炎山の白い手が置かれた。

    「お話のところ申し訳ありません。光博士の娘さんでよろしいですか?」
    「え、あっ!はい!」
    「む、今私が話しているというのに…おお!伊集院さん家の!久方ぶりですなぁ!」
    「えぇ、お久しぶりです。光博士より娘さんを連れてきて欲しいと頼まれていまして…よろしいでしょうか?」
    「もちろんよろしいとも。それでは私は失礼するよ……あぁ、光さんまた後で話をしようじゃないか!」
    「ま、また後で……」

    そう言い残して去っていく男に、熱斗はまた後で絶対無いです、と言いたい気持ちをぐっと堪えて笑顔を作って見送る。

    《ありがとう、炎山。助かったよ》

    ほら熱斗くんも、とロックマンに促され、熱斗は炎山の方へと振り返る。

    「助けに来てくれてサンキュー」
    「騒がしかったから来ただけだ。それにしても…」
    「なんだよそんなジロジロ見て…なんかあるなら言えよ」
    「馬子にも衣装だな」
    「炎山、お前……!」

    炎山の言葉に熱斗は目を瞬かせこてん、と首を傾げる。

    「オレはお前の孫じゃないぞ?」

    熱斗の言葉に今度は炎山が目を瞬かせる。
    そして盛大にため息を吐き出した。
    その隣ではロックマンが苦笑いを浮かべながら哀れみの籠った声色でオペレーターの名前を呼んでいた。

    「オレなんか変なこと言った?」
    《…後で意味を教えてあげるね》
    「そういえばあの男と何の話をしていたんだ?」

    場合によっては事案になるが、と呟かれた言葉にロックマンは状況だけ見たらかなり事案だよ、と小さくこぼした。

    「なんか自分の息子にあってくれないか?みたいなこと言ってた気がする?」
    「なんで疑問形なんだ」
    「だってあのおじさん勢いが強すぎてほぼ何言ってるのか聞き取れなかったんだよ!」

    断ってるのに全然話聞いてくれなかったし!と声を荒らげる熱斗の表情には疲労が浮かんでいた。炎山はと言うと熱斗の言葉を聞いてなにやら考え込んでいる。

    「はぁ……、なんか来たばっかりなのに疲れた……」
    「それならば休憩室で少し休むか?」

    一度会場から出てしまうがな、と続ける炎山に熱斗は食い気味に休みたい!と答える。
    メイル達が来るまでまだ時間があるし、この後もパーティーに出席するのだから腰を下ろせるところでゆっくりと休んだ方がいいだろう。
    こくん、と頷いたロックマンに炎山はこっちだ、と熱斗の手を引くと休憩室へ続く廊下を進んでいった。


    「疲れたー!」
    《お疲れ様熱斗くん…ってこのやり取りさっきもやったね》
    「あはは、確かに!」

    炎山に手を引かれ会場を出た熱斗が案内された休憩室に置いてあったソファに腰を下ろすと、炎山はなにやら用事があるとだけ告げて休憩室から出ていってしまった。
    IPCの副社長として日夜働いている彼にはやることが沢山あるのだろう。大変なものだな、と熱斗は炎山の背中を見送った。

    「あ、そういやパパに連絡してないや…ロックマンメール頼んでもいい?」
    《分かった。今メールを書くから待ってて、》
    「お前がここで休んでいることは既に伝えてあるから問題ない」

    炎山の声にロックマンは広げたウインドウを閉じる。

    「あれ?炎山なんで戻ってきたんだ?」
    「お前に渡したいものがあったから撮ってきたんだ……後ろを向け」

    炎山の言葉に熱斗がくるりと背中を向けると、追加で髪を上げろと指示が出された。
    疑うことなく素直に後ろ髪を持ち上げた熱斗の首に、ひんやりとした感覚に擽られる。

    「うえ、なに、」
    「じっとしていろ……よし、もういいぞ」
    「なんなんだよお前……って、これ」

    首元に飾られた赤色の宝石がついたネックレスに熱斗が顔を上げるが、炎山はなんでもないような顔でコーヒーを飲んでいた。

    「まぁ、風よけくらいにはなるだろ。さてオレはそろそろ戻るが……お前はどうする?」
    「え?あ、あぁオレも戻るよ」

    なら早くしろ、と差し出しされた手に首を傾げる。よく分からないままその手を取ると、行くぞ、と声がかけられてそのまま休憩室を出ていく。

    --------------------

    炎山に手を引かれ会場に戻ると、騒がしかった会場内が一瞬にして静まり返る。
    驚きで目を見開く者や悲しげな表情を浮かべている者、様々な人から集まる視線に気圧された熱斗は隣で飄々としている炎山の手を引っ張る。

    「なぁ、炎山この空気なに?なんでみんなオレらのこと見てんの?」
    「……さぁな」
    「さぁな、ってお前……」

    何なんだよぉ…と呟く熱斗の元へ先程の男が近付いてきた。しかし、熱斗の首元を見て露骨にげんなりとした表情を浮かべる。
    男とは対照的に、炎山は何故か満足気な笑顔を浮かべると男にすいません、と謝罪する。
    ますますどういうことか分からず首を傾げる熱斗に炎山は気にするな、とだけ告げると男に会釈をした。
    熱斗もそれを真似て頭を下げて炎山の後を追う。

    「なぁ、なんでさっきの人ちょっとしょんぼりしてたんだ?」
    「知らん。……おい、熱斗」
    「ん?」

    あそこ、と刺された先を見ると父親が何かを探すような様子で歩いていた。
    多分自分のことを探しているんだろう、と熱斗は炎山の手を離して父親の方へと向かっていく。炎山がその背中を見送っていると、いつの間にかロックマンが隣に浮いていた。

    「お前は行かなくていいのか?」
    《ねえ、炎山。男性が女性にネックレスを贈る意味って知ってる?》
    「ほお、そんなものがあるのか。ぜひ教えてもらいたい」

    白々しい態度の炎山にロックマンは眉を寄せる。

    《せめて、告白のひとつでもしてからああ言うことして貰えるかな?》
    「それに関してはオレだけではないだろう」

    リングとかイヤリングとかな、と笑う炎山にロックマンは喉元まででかかった文句を言わずに大きく溜息をこぼした。
    大人と渡り合えるほどの豪胆さを持つ彼のことだ、きっと意味が分かっていて熱斗にネックレスを贈ったのだろう。
    そんなことも知らずに呑気に自分と炎山を呼ぶ熱斗にロックマンはもう一度溜息をこぼした。

    「熱斗が呼んでいるが行かなくていいのか?」
    《全く……熱斗くん今行くよー》

    ********************

    リング ずっと一緒にいよう
    イヤリング いつもそばにいたい
    ネックレス あなたは私だけのもの
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