天使の住むアトリエ 画家に限らず、あらゆる分野の芸術家の大半は他人に口出しされることを嫌う。自分のやり方で、自分の審美眼にかなうものを、自分の納得のいくまで求め続ける。そういうタイプの芸術家はかなり多いし、言い換えれば、そういう性格の人間がアートの世界には向いているのかもしれない。
昔は零も似たような性格だったように思う。創作欲求が命じるままに、描きたいと思うものを、描きたいときに、好きなように描いていた。誰からの指図も受けずに。名が売れるにつれて、そんな時間はどんどん減っていったけれど。
零は次第に、求められる絵を描くようになっていった。それはありがたいことでもあった。評価されること、作品を愛してもらえることそれ自体は、まぎれもなく喜びである。趣味でやっていたことが、次第に金銭が付きまとう仕事に変わっていた。
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