わたしは色彩 きみは光彩「何色がいい?」
「赤がいい。」
「俺は青がいい。」
「意見が割れたな。ならどうする?」
「そうだな、赤にしよう。」
小さな机を大きな体ふたつで囲んで何をしているのか。きっかけは何だっただろうか。娘のガブリエラの学校で出された工学の課題、いや図工の課題か、そんな話からだった気がする。ふたりとも揃ってエンジニアなんて肩書を持っていたから、始まりかけた行為を中断してこうして肩をくっつけてあれこれとアイデアの種を真っ白な紙に描いていくことに夢中になっている。
「これなら。」
うまく使えばヴィランの捕縛に…と言いかけてミゲルは慌てて口をつぐんだ。平穏で普通の生活を過ごしている彼に自分の素性を知られているとはいえ、自分の口から彼に物騒なことを言うことははばかられた。
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