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    てぬたろ

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    てぬたろ

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    #TPVワンドロライ
    11月17日お題「web」「絡まる」より。

    ATSV、ミゲル・オハラとミゲルを見るライラのお話

    自動糸車は回り続ける いくつものモニターの前に今日もミゲルは立っている。広いソサエティの中で彼がこの場所で過ごす時間の割合はとても多い。
    彼は老婆のように背を丸めて、モニターのあちこちに細かく散らばる文字や数字をせわしなく目で追って、新たに文字や数字を打ち込み、蜘蛛の巣状の運命と照らし合わせていく。何時間も何時間も。自ら選んだこととはいえ、無数の宇宙の監視の重責は明らかに彼の人生を蝕んでいた。
    時々、目頭を押さえながら、数多あるモニターのひとつに焼き付くほどに映している在りし日の思い出に浸っている姿は、去りし過去にのみ安らぎを求める姿は、いっそ哀れに見える。
    あいも変わらずモニターの前で大きな体を小さく丸め、亡霊じみた影を背負ったミゲルは魂の置き場所を無くした常世の存在じみていて。
    多次元にいる蜘蛛の運命を背負った者達の絡み合う糸を見張り、カノンを読み解き、異常を見つけると取り除き、断ち切る。まるでたった一人で運命の三女神の役割を担っているようだった。見えない糸車から吐き出される蜘蛛の糸をミゲルは紡いでいる。蜘蛛の巣の形をしたカノンは糸車の車輪にも見えて、ならばミゲルの指先の爪は糸車の針か。その指先がすでに糸を紡げていないことを、彼はとっくに知っていて、その現実を見ないようにしている。
    「ハロー、ミゲル。あなたモイラって知ってる?」
    「…知らん。」
    機嫌が良ければ、なんだそれは、と続けてくるはずだから今はきっと機嫌が悪いのか、それとも、眠気と戦っているのだろう。
    「ならいいわ。気にしないで!あなたって不機嫌な顔しててもキュートなのね。」
    止まることのない糸車の糸に絡め取られて身動きの取れなくなった、かわいそうな蜘蛛は今日も一人、役割を果たそうともがいている。

    「あなたが一言わたしに、助けてと心から言ってくれれば、いつだってみんななかったことにしてあげられるのよ?」
    隈が色濃く沈むミゲルの寝顔を見つめながらライラは独りごちた。
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    てぬたろ

    DONE #TPVワンドロライ
    4月20日、お題「蜘蛛」「ヒーロー」より
    ATSV ミゲミゲ(パパ×928)

    ※いずれミゲミゲになるミゲとミゲ
    ※99ミゲがパパミゲを特別だと意識するきっかけのお話
    君がそう呼ぶのならばモニターとスクリーンだらけのオフィスでミゲルは今日も仕事をしていた。オレンジ色に発光する光の粒子ばかりを見続けていると、太陽の陽の色を忘れてしまいそうになる。それが健全が不健全で言ったらもちろん後者なわけなのだけど、使命に駆り立てられているミゲルにとってはどうでもいいことだった。
    あらゆる次元のスパイダーマンを観測できるようになってわかったことがある。
    ひとつはあらゆる次元の『ミゲル・オハラ』を観測してみてもスーパーパワーを得るのはこのアース928の『ミゲル・オハラ』、つまり自分だけだということ。
    ふたつめは蜘蛛から直接スーパーパワーを得ていないのは自分だけだということ。
    無限に広がる数えることもバカバカしくなるの次元のすべてを見たわけではないのだから、本当にミゲルが一人きりであるとは言い切れないにしても、ミゲルに孤独感を感じさせるには十分だった。孤独は胸を押しつぶすような不安をミゲルに与え、安らぎから遠ざける。他の次元のスパイダーマンと関わるようになって少しは孤独感が薄れているかもと思うこともあったが、顔色は一向に悪いままだった。
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    てぬたろ

    DONEセステオ(24話後)

    スミルナアンドカプリ
    セスとテオと香りのお話。
    セスの恋心が周りからみてもわかりやかったらかわいいです。

    ※セスがペトロとある程度打ち解けてます。
    香る恋心手に緑色を詰めこんだ籠を持って、セスは軽やかにペセルス城の長い長い階段を降りていく。足元でちょこちょこと精霊たちもセスと階段を一緒に降りていく。
    かつてはセスもランジェレスにあった城に暮らしていたとはいえ、このペセルス城はそれよりももっとずっと構造が複雑だ。オデアの首都にある城より小さいはずだが、ペセルスの城内を把握するためにあちこち散歩をしてはときどき迷子になった記憶はまだ新しい。とはいえここでセスに許されていることは少なかったから、城内とその周辺を歩き回るほかにすることもなくてセスが当初危惧していたよりはずっと早く把握できていた。
    すっかり慣れたペセルス城の台所へとセスはやってきて、使用人の中から見知った顔を探す。お昼すぎのこの時間帯、彼女が書斎にいるテオのためにお茶を用意することもセスはしっかり把握していた。歩くことに疲れた精霊たちはセスの頭と肩の上から探すようにキョロキョロとしている。もしかしたらセスの真似をしているだけかもしれなかった。
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