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    今しか書けない(かもしれない)ダリア君妄想とウェンティと先生。

    第一印象 信じたくない、という気持ちが強かった。恐らくそれは、誰よりもウェンティが思っていた事。でも目の前に広がる現実は酷く残酷で、怒りと悲しみに飲まれないよう固く拳を握りしめるしかなかったのだ。
    「……どうして」
    「説明が欲しいんですか? この状況を目にしてなお」
     くすくすと笑い出しそうな楽しげな声が、風神バルバトスを奉る教会に反響する。
     事実、楽しげな笑みを浮かべた少年が、この状況を楽しんでいるのは手に取るようにわかった。西風教会の助祭にして、ウェンティに親友と認められるほどの人格と才覚を持つであろう、稀有な存在。そんな彼……ダリアがまさか。
    「何で……ウェンティを裏切ったの」
    「さぁ……何故でしょうね?」
     はぐらかす様にそう呟いて、その視線が手元へと降りる。その腕に抱いた、意識を失いぐったりとしたウェンティへと。
    「私の信仰心は本物ですよ、それに偽りはないと断言できます、命にかけて。ただただ、彼の事が愛おしいだけなんです」
     すり、と言葉通り愛しげに頬を擦り寄せる様は、状況が状況でなければ信じてしまいそうなほど嘘はない。でも、ウェンティの意識を奪い、今まさにどこかへ連れ去ろうとしていた彼は、間違いなく裏切者だった。
    「ああ、バルバトス様……本当に可愛い。私は貴方の一番の信仰者で、親友で、その他の一番も全部手に入れたいんです」
    「それは君が決めることじゃない」
    「わかっていますよ。だからこれから、誠意を尽くして分かって頂くんです」
     微笑む顔は、変わらず美しい。でも、わかってしまった。ウェンティに対する狂おしいまでの執着と愛情、誰よりも信仰心を捧げながら、誰よりも神を手にしたいと望むその狂気は。
     そうか、これが狂信者、と呼ばれる者なのか。


    「私のウェンティが寝取られたと聞いて」
    「俺の番が寝取られたと聞いて」
    「ふふ、ウェンティの友人は面白い人が多いですね」
    「笑い事じゃないんだよねぇ」
     真っ昼間から酒も入っていないのにこの面子の世迷い言はどこから湧いてくるのだろう。少なくとも日も高いカフェテラスでする話ではない。
    「それにしても、私の第一印象ってそんな感じなんですか?」
    「だっていきなりウェンティの親友とか言い出すし、色々考察した結果これは絶対裏切り枠かと」
    「さっきの壮大な妄想は誰作なんだい蛍?」
    「鍾離先生との合作」
    「なにしてんのじいさん……」
     胡乱な目を正面に座るじいさんに向けると、優雅に茶を啜った彼はふいに物憂げな表情を浮かべて見せた。
    「俺としても大変驚いた……お前がモンドの助祭に寝取られたと蛍に聞かされて」
    「ねぇ蛍、軽率にモンドを壊滅の危機に晒すのやめようか?」
     下手をしたら激高したじいさんがモンドごと滅ぼしに来る未来を思い描き、ぞわりと寒気が走った。そんな洒落にならない危機感を抱く自分の隣で、くすくすと愉快そうに笑っているダリアは知っていたが只者ではない。
    「でも中々に面白いシナリオですね。私がバルバトス様を裏切る……やってみますか?」
    「やめてよ泣くよ?」
    「流石に聞き捨てならないね……よし、これから先生と面談と行こうか」
    「お手柔らかにお願いします」
    「ねぇ待って???」
     なんだか自分を置き去りに話は進んで、三人は意気揚々とまだ日も高いのにエンジェルズシェアを借りよう、なんて話ながら去って行き。

     後日、二人から『合格!』と太鼓判を押されたダリアは、やはり自分の親友を名乗るに相応しい強者だと思い知る事になる。


    【終】
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