もしかしたらの物語「こないだねえ、相澤先生が廊下で通りすがりにね、たぶんすごく眠かったみたいでね、だっていつもよりすごい目充血してて、だからだとおもうんだけど私のなまえ混ぜちゃって『おちゃらか』って呼んだの。これは乗っとかないととおもってね、『ホイ!』て返事しました」
「それがたまたまそのとき隣にいたエリちゃんのツボに入ったらしく、最近どこでもかしこでもいきなりその真似をするらしい。ほうっておくとひとりでずっと、おちゃらか! ホイ! と相澤先生と麗日さんの口調を真似しては得意げにしているとミリオ先輩が言っていた」
「無限黒歴史再放送スピーカー…それで最近相澤先生なんだかぐったりしてるんだね……」
グループワークの最中だった。国語の授業で百人一首の歌のひとつを選んで作者や来歴を調べるというもので、くじびきの班決めで麗日さんと飯田くんと僕という組になって、それでいまこうして机をくっつけてノートを広げて勉強を、しているつもりがなんとなく雑談にシフトしてしまっている。
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