小さな僕らと大きな僕らコロコロと高い子供特有の可愛らしい笑い声が
部屋の中に響く

『にぃちゃん！もういっかい！！もういっかいやってー！』
「よし、いくぞ…………それ！」

兄さんは先程からベビィの自分を高い高い(にしては高すぎる……もはや放り投げだよ……)してあげて
一緒に遊んでいる
まぁ、ソファの上だから余程のことが無い限り怪我はしないだろう……けど

「兄さん！あまりやり過ぎると危ないよ！」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと見てるよ……それより鍋はいいのか？」
「え？…ッあぁぁ！！！？」

兄さんに気を取られていたら少し鍋を焦がしてしまった……
それと同時にぼくによじ登っていたベビィのぼくが大声に驚いて泣き出した…………あぁぁ〜〜……

「わぁぁ、ごめんね大きい声出して……よしよし……」
『ウワァァァン………うっ………ひっく…ぅ〜…』

必死にあやすぼくの所に兄さんが近付いてくるのが見えた

「鍋とかテーブルに運んでおくから、ルーはベビィと先に座ってな」
「うぅ、ありがとう…………って元はといえば兄さんが危なかっしいことするから…！！」
「まぁまぁまぁ、悪かったよ……ほらまた泣きだしちゃうぞ、ママ？」
「まッ、ママ！？」
『『ママ……？』』
「そうだぞ〜……ほらママと一緒に良い子で座っておいで」

聞き捨てならない呼称に反論する間もなく背を押されてキッチンを追い出されてしまった
ママ……ママってぼくは男だよ…！？
確かにちょっと心配で口うるさくなっちゃったりしてたけどママって………！！！もう！

『おにいちゃ、まーま、だいじょうぶ？』

ぼくが顔を真っ赤にしながらブツブツ呟いていたら心配そうにベビィのぼくが頭を撫でてくれた

「大丈夫だよ……ありがとうね…」

兄さんが変な事を言ったせいでベビィに心配をかけてしまった…
というかぼくがママなら兄さんはパパ……！

「ベビィルイージ…………」
『………？……………うん、うんわかった！』

とととと…っと小さな足音をたててキッチンにいる兄さんの元へベビィルイージは向かっていった

ーーーーーー

「よしベビィマリオ、これをルイージのいるテーブルまで持って行こうか」
『うん！』

『パパー、ぼくもおてつだいする』
「………ッ！？今なんて」
『？パパ……おにいちゃんにパパのおてつだいしてきてって』
「ッ……あぁ〜〜〜〜…………そう…」


『これはこぶんだって！いこうるいーじ』
『うん！にいちゃん』

キッチンで顔覆って天を仰ぐ兄さんが見える
どうだ、ぼくの気持ちが分かったか！
ニヤニヤしながら見ていたらベビィズが食器を持って来てくれた

「ありがとー………兄さんまだー？？」
「……今行くよ……………イテッ」

パパ呼びの余波でふわふわしていたのか
ｺﾞﾝｯという鈍い音が聞こえてきた……
鍋を持って来た兄さんの額が密かに赤くなっていて
思わず笑っちゃった

「あはは、兄さんってば戸棚で頭ブツけたの？」
「うぅ……仕方ないだろう、あれはズルい」
「ぼくの気持ちが分かった？…結構恥ずかしいんだよ、嬉しいけど……」
「……何とも言えない、胸がじんわり暖かくなったよ…」

お互いに顔を見合わせて薄っすらと頬を染めた

『『パパ、ママ、おかおまっか！』』
「「………………」」



その後ベビィズと食卓を囲んだけれど兄さんもぼくも作ったシチューの味がいまいち分からなかったのだった