青白い顔であった。
くもり空が続く日の野草のようにしおれた青さである。
その上に、まるで紙に描いたかのような微笑の面を貼り付けて、沢蕪君は拱手した。
「ようこそおいでくださいました、江宗主」
江澄は拱手を返しながら、眉根を寄せた。
藍家宗主が閉関を解いたと聞いてあいさつに来たものの、いったいこれはどういうことか。回復した様子がないばかりか、明らかに無理を押して表に出ている。
彼が閉関した期間は二年余り、周囲からの圧力に耐えられず姿を現したか。もしくは含光君への負担を慮って、無理を押したか。
「その、沢蕪君」
「なんでしょうか」
机を挟んで向かい合い、一口茶をいただいたところで江澄は耐え切れなくなった。
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