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    ichiru__23

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    こちら(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17020274)の続編として長くしたためてましたがどうにも書き終わらなそうなので供養。五がまだ出てきません。誰か続きを書いてくれ

    五夏/セックスくらいできるよな俺達最強だし2人気のない廊下を歩く。
    時刻を確かめると今は昼過ぎ。この後昼食を済ませてから、ちょっとだけ遠出の任務へと一人で向かう予定だった。呼び出しを受けていた分時間が押している。急ぎ気味に寮へと戻って自分の部屋の扉を開けると、そこには当たり前のように居座る同級生の姿があった。

    「よぉ夏油。呼び出しお疲れ」
    「え、硝子?」

    意外な人物がそこにいたことに私は幾らか驚いた。硝子は私の机の上に当たり前のように座り、悠々煙草をふかしながら片手を上げた。傍らに置いてある灰皿にはすでに何本かの吸い殻が潰れている。
    室内は当たり前のように煙草のにおいが充満しているが彼女にとってはどうでもいいらしい。ふぅ、と細く長く煙を吐ききると、手にしていた煙草を灰皿へと押し付けた。
    「で、夏油。どうして私がここにいるかわかるか」
    「……『そんな質問させてごめんね』?」
    「へぇまだ軽口叩ける余裕があるんだ」
    いつもならもう少しぬるめの視線を向けてくれるというのに、今の硝子からは絶対零度の怒りが立ち上っていた。え、もしかしてすごく怒ってるかもしれない。しかも怒らせているのは私が原因かもしれない。それはわかるけど困ったな、全く思い当たるふしがなかった。
    こういうとき理由もわからず謝るとすごい勢いで更に怒られるんだよな。表向きは当たり障りなく裏向きではそんなことを考えていると、全てを見透かしたような顔で「クズが」と吐き捨てられた。わあ、女の子って鋭い。
    「アレだよアレの話。ほら、もう一人のクズいるじゃん?」
    「あぁ……いるね」
    「昨日アレと2人で任務だったんだよ。それで、移動中の車内でずっとなに聞かされてたかわかるか? アレの大親友の夏油?」
    「うん大体わかった。硝子には迷惑かけたね、本当に悪かった」
    以後気をつけるからどうか気を静めてほしい。あとどうかこの件はどうか内密に。あとどうか、なんとなく理解できたからそれ以上聞かせないでほしい。
    そう言いたかったけれど鋭くねめつけられ、喋ることすら許されなかった。
    こほん。そう軽くひとつ咳払いすると、硝子は作ったようなやけに甲高い声で喋り始めた。

    「『傑がぁ~~最近俺のこと避けてるっつぅか~~なんか警戒してるみたいでさぁ』」
    「しょ、硝子……どこからそんな女子高生みたいな声が」
    「『俺達実は……あっこれナイショよ? 実はこの間ちょーっとあってさ……俺的にはちょぅ幸せだったんだけどぉ、そっからよそよそしくなっちゃって。あっでも愛されてる感じはするんだよな~~前より構ってくれるし、頭よく撫でてくれるし~』」
    「硝子さんもうそのへんで……」
    「『なぁコレどう思うアイツやっぱ照れてんのかな? 硝子ぉ~~も~寝たふりすんなよ俺本気で悩んでんだからね? ねぇコレがっつかないほうがいい? 女子的にはどう?』」
    「…………」

    こほん。喋り終わった後で硝子はまたひとつ咳払いをし、この世の全てを呪ってやるとでも言いたげにため息をついた。確か2人の任務地は隣県とはいえ、交通機関の通っていない車で何時間もかかる山の奥地だったはずだ。その間今のようなテンションの同級生に絡まれていたのかと思うと、確かに恨みが積もっても仕方がない。
    「夏油、火」
    長いため息の末に硝子から出てきた言葉は命令の一文字だけだった。
    私はすぐに馳せ参じて転がっていたライターを拾い上げ、彼女の前へと持っていった。潰れ気味の箱から取り出された新しい一本の先へと火を近づける。無事につくと硝子はその火がなじむのをじっと見つめ、短く煙を吐き出した。



    「アレ」こと、「もう一人のクズ」こと、五条悟と事故的に寝てしまってから10日ばかりが過ぎた。
    事故だった、紛れもない大事故だった。オフの日に悟と2人で妙な結界に閉じ込められて、内側から出るには明示された条件を満たすしかなかった。その条件というのがよりにもよって、セックスしろという無茶苦茶な条件だったってだけだ。
    悟はまぁ、そこかしこゆるい所があるから。気軽にヤろうぜと言い、私もいつもの悪ふざけのノリで乗っかってしまった。つまり親友と一度だけ肉体関係を持った。
    それだけだ。それだけ、ただそれだけ。
    「普通男の友人同士は肉体関係を持たない」らしいけれど、悟と私は親友だし。過ちのひとつやふたつあってもギリギリ大丈夫なはずだ。そんな現実逃避めいたことを頭の中で唱え続けて10日間ばかりが経ってしまった。
    悟は変わらず、今まで通りの友人としての距離感でいてくれている。いてくれているけれど、それがふとした瞬間に異質なものに変わる。例えば授業中に小声で話しているとそっと指を絡めてきたり、歩くときやたらと腰のあたりを触ろうとしたり。夜に部屋でくつろいでいると、なにか言いたげな顔で見つめてきたりと。色々だ。

    私はそんな空気を敏感に察知する度、そのこそばゆい空気を吹き飛ばそうと懸命に励んだ。

    ジ■リ作品をあらかじめ何本も借りておいて夜通し観たり、からっぽの浴場をゴムボールで埋めてボールプールを作ったりした。悟はそういうことをすると大抵眼を輝かせて素直に夢中になってくれるので助かった。知育菓子を与えたときは生まれて初めて小さいハンバーガーを作れたことに大興奮してたっけ。
    まぁ最近そんなことばかりしているから、当然呼び出され特大の説教を受けることは増えた。さっきもそうだ。でも今日は敢えて悟が任務で不在の時間帯を狙ったかのように、私だけが呼び出された。最初は2人そろって怒鳴りつけていた担任も、ここまでやらかす頻度が上がったことに逆に心配になったらしい。いつも一応は優等生で通っている私になにかあったんじゃないかと勘づいたのか、今日はやんわりとした口調で色々と問いただしてきた。なにか悩みでもあるのかと図星をつかれたけれど、いつも通りにこやかに嘘をついてきた。
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