周囲からの説得と従者からの後押しでディミトリはついに結婚しました。
その女性は気立も良く、美しく、聡明で、王の伴侶として申し分ないこれ以上ないぐらい似合いの2人だと皆が祝福しました。
ブレーダッドの子孫と、その紋章でこの地が統治され続けるとこを望まれていること、その真意をディミトリは理解していましたが、同時に、いずれ生まれる我が子に幼少の頃力に翻弄された苦しみや紋章をめぐったさもしい争いに触れさせたくないと思っていました。
そんな気持ちを抱えながら妻を抱こうとしましたがうまくいきませんでした。妻は「戦の傷が癒てないのでしょう、ゆっくり待ちましょう」と宥めました。
ディミトリは従者のことが好きでした。長い間結婚をはぐらしていたもう一つの理由でした。
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