Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    u_tm_275

    @u_tm_275

    ジャンル雑多
    🌊📦▹▸【https://wavebox.me/wave/4q7ykq8edjfpphkj/

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji ❤ 💜 🌠 👏
    POIPOI 96

    u_tm_275

    ☆quiet follow

    【冬のとある日】
    過去作サルベージ。
    月。/始雪

    冬のとある日「あ……」
     空から舞い降りる、儚い結晶。
    「雪だ……」
     それと同じ名を持つ愛しい少女に、青年は思いを馳せる。
    「……帰ったら、電話でもするか」
     そうつぶやく青年の口元には、優しい笑みが浮かんでいた。

     同じ頃――

    「あら、雪……月で降るのは珍しいわ」
     舞い降りてくる結晶を眺める少女がひとり。
    「きっと、日本でも降っているのでしょうね……」
     少女はふと思う。
     自分と同じ名を持つこの結晶に、愛しい青年は自分を重ねたりするのだろうか。
    「……帰ったら、電話でもしてみようかしら」


         ◇


    「――もしもし、雪?」
    「――もしもし、始さん? ふふっ、ちょうど始さんにお電話しようかと思っていたところだったので、少々驚きました」
    「そうだったのか?」
    「ええ。昼間、雪が降っているのを見ていたら、なんだか始さんの声が聞きたくなって」
    「……驚いたな。俺も同じだ」
    「まあ……!」
    「ふっ、奇遇だな」
    「……ふふっ、嬉しいです」
    「ん?」
    「始さんが私のことを考えてくださっていたなんて……」
    「当たり前だろう。お前は俺の大事な恋人なんだから」
    「そうですね……ありがとうございます」
    「……なあ、雪」
    「はい、なんでしょう?」
    「今度――」



     こうして、優しい夜は更けていく――
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works