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    u_tm_275

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    【再会、そして、】
    過去作サルベージ。
    月。/春ひな

    #二次創作
    secondaryCreation
    #春ひな
    springDaisies

    再会、そして、『待ってて、くれませんか』

     俺の服の裾をぎゅっと握りしめながらそう言ったきみの顔が、ずっと忘れられない。
     とても真剣な、でも、今にも泣き出しそうな表情で。
     そんな顔をされて、否と言えるはずもなくて。

    『……分かった』

     俺は、ただ受け入れてきみを手放すしかなかった。

     あれから、何年経っただろう。
     きみの言葉を信じて、俺はずっと待ち続けたよ。
     今日、この日を。

     約束の場所は、思い出の公園。
     きみは、本当に来てくれるのかな。


         ◇


     数年前、私を好きだと言ってくれる人がいました。
     私の大好きな人でした。
     とてもとても嬉しくて、だからこそ、離れなければならないと思って。

    『待ってて、くれませんか』

     私には夢があって、それを叶えるためには、その人と離れるしかなくて。
     理由もなにも告げず、ただ待っていてほしいとしか言えない私を、その人は受け入れてくれました。

     今日、やっとその人と再会できるんです。

     約束の場所は、思い出の公園。
     あの人は、本当に来てくれるのかな。


         ◇


    「ひなちゃん!」

     桃崎ひなが公園に足を踏み入れると、聞き慣れた、でも、すごく懐かしい声に名前を呼ばれた。

    「あ……春、さん……」

     駆けよってくる弥生春の姿を見とめたとたん、ひなの視界が涙でぼやけた。

    「久しぶり、ひなちゃん」
    「お久し、ぶり……です、春さん……っ」
     我慢できず、ひなの頬を涙がこぼれ落ちていく。
     嗚咽をこらえようとするひなを、春はなにも言わずにそっと抱きしめた。
     その変わらない優しさに、ひなはとうとう抑えきれずに声を上げて泣きだした。
     そんな彼女の頭を、春は愛おしげに優しく撫でる。
    「ずっと会いたかったよ、ひなちゃん……ねえ、今度は、ちゃんと答えをもらえるかな?」
     春の言葉に、ひなはしゃくり上げながらも何度もうなずく。
     その反応に嬉しそうに微笑むと、春は泣きじゃくる愛しい人を腕に閉じ込めたまま、その耳元で優しくささやいた。



    「――好きだよ、ひなちゃん。ずっときみのことを忘れたことはなかった。どうか……俺の恋人になってください」
    「……っ、はい……!」
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