Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    イソギンチャク

    閲覧いただきありがとうございます。
    【展示作品】
    ・色紙
    ・色紙以外のイベント用に描いた絵
    ・ちょこっと過去絵

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌹 ☯ 🎀 💛
    POIPOI 10

    イソギンチャク

    ☆quiet follow

    麻チョコです。この小説の続きも書きたいねえ…と思いながら数ヶ月。

    ##麻チョコ

    麻チョコ小説優等生なのは下心があるからです、センセイ
     (お題箱 お題ガチャ「cp向けお題」より) 
      年齢操作を含みます。苦手な方はお避けください。

    「明後日の試験、頑張ってね。応援してるから」
     生徒会の皆が帰った後も、おれは一人生徒会室で自分の作業をしていた。するとコンコンとドアを叩く音。どうぞと声をかけたらドアを静かに開けたのはおれの担任の黒鳥先生。黒鳥先生はその名の通り、黒髪が似合う落ち着いた女性で、おれにとってはチョコのように甘くて苦い人だ。そう、つまりは先生に片想い中である。優しく接してくれる先生が好きで、毎日顔を合わせられるのがすごく嬉しい。でも、生徒と先生という立場上この想いを隠さなきゃいけないのは苦しい。
    「黒鳥先生、わざわざそれを言いに?ありがとうございます」
    「え、あ、うん…言い忘れてたなって。受験直前なのに生徒会の仕事まで本当にお疲れ様。試験前くらい休んでもいいんじゃない?」
     先生がおれのところまで来てくれるのも、こうやっておれのことを気にかけてくれるのだってすごく嬉しい。のに、この喜びを邪魔するかのように立場というのが邪魔をする。
    「心配ありがとうございます。でも、おれは大丈夫ですよ。今まで通りのことをしていないと、逆にそわそわするというか」
    「でも文化祭前だから普段よりも忙しいんじゃない?」
    「それはそうですけど、おれの私情で皆に迷惑かけたくないですし、おれ生徒会長ですし」
     皆クラスの出し物もあるし、文化祭の後にはテストや夏季休暇と予定が立て込んでいる。少しでも生徒会の荷物にはなりたくないし、生徒会長だからこそ皆の負担を少しでも減らしたいのだ。祖父と父の背中を追っているおれには上に立つ者としての責任は周りよりもわかっているつもりではあるし、その責務をしっかりと果たしたい。上がしっかりしてこそ部下も応えてくれるのだ。だから、多少の無茶は受け入れるべきだろう。
     おれがまだ作業を続けようと、半分は黒鳥先生に気を遣ってもらえた喜びがバレないようにと目線を机に戻したところ、ふっと影が落ちてきた。これ、先生のだ。
    「生徒会長だからだよ!皆会長の合格を祈ってるし、組長なら皆のこと信頼して頼るべきなんじゃない?」
    「……っ、そ、うですね…先生の言うとおりです…」
    「うん。じゃ、もう今日は帰ろ。試験直前の登校で最後まで残って仕事とか、偉すぎ!」
     さ、早く荷物しまってしまって。先生に促されておれは机に出していたスマホや筆記具をしまいながら、必死に溢れ出る喜びを抑える。先生、部下を信頼してって…そんなの、完全におれの家のことを理解して、生徒会長や組長のような上の立場についても考えてるじゃん…。まるで組長の旦那を叱る極妻じゃないか…!おれの足りていない部分を補ってくれるところ、本当に先生のこと好きになってよかった。嬉しい。おれらってお似合いなんじゃないか?
    「それじゃ、気をつけて帰ってね。試験もうまくいくよう祈ってるから」
    「先生おまじないとか得意ですよね、お願いします」
    「もう、皆勝手なことばっか言って…麻倉くんもそんなこと鵜呑みにしないの。麻倉くんは自分の力で合格できるよ。皆麻倉くんが頑張ってるの知ってるから」
    「そんなに褒めてもらえて嬉しいです。先生も気をつけてくださいね」
    「先生の心配はいいのっ。ほら、さようなら」
    「…さようなら。…試験頑張ります」
     先生は校舎の玄関先までおれを見送りに出てきてくれた。ああ、帰りたくない。先生ともっといたい。でも先生に褒められて嬉しいから、先生には嫌われたくないから…渋々足を踏み出す。先生はおれのことを実家の跡継ぎのために頑張る生徒だと思ってるけど、それだけじゃない。褒められたいから、少しでもあなたに好かれたいから頑張ってるんですよ、先生。


    🤎❤️🤎❤️🤎❤️🤎❤️🤎❤️🤎❤️🤎❤️🤎❤️


    バーテンパロ麻チョコ
    (ベアードアードさんのカバー曲『レディーキラーカクテル』パロ)
    年齢操作
    麻倉くん目線

     彼女は突然やってきた。
    「チョコも飲みたいもの選びなよ」
    「えぇ…うーん、お酒とかよくわからないからメグが決めて…」
    「じゃあお兄さんのおすすめにしてもらお!」
    「…お願いします」
    「承知しました。味の好みは?」
    「うーん、お酒の味が強いのは苦手です」
    「それではキールにいたしましょう」
     カクテルを用意する。その間彼女たちは話を弾ませる。どうやら二人は同級生で、たまにはお酒を飲んでみようとなってこの店に入ってきたらしい。
    「どうぞ。お待たせしました」
    「わ〜!ありがとうございます」
    「ありがとうございます」
     友人の方は慣れたようにメニューから選んでいた。匂いを堪能し、飲み込む姿からもこういう場の経験値が高いことが窺える。
     対する彼女はどうしていいのかわからないようで、隣に座る友人にならって匂いを嗅ぐなどしている。
    「キールは白ワインとカシスリキュールのカクテルです。甘すぎず辛すぎずなので、初めてでも飲みやすいかと思います」
    「へえ…」
    「そのカクテルに込められた想いは『最高の巡り逢い』。どうか素敵なカクテルに出会えますように」
    「…ありがとうございます」
     緊張した面持ちが少し和らぎ、カクテルに口をつける。
    「…おいしいです」
     彼女が微笑む。『最高の巡り逢い』、もとい、『陶酔』。
     それは俺のためのカクテル言葉だった。

    「今日もいいんですか?」
    「ああ。千代子さんが飲んでくれるなら俺も嬉しいから」
    「…お上手なんですから…」
     バーを閉めた後。誰もいない店内に、あの夜の彼女…千代子さんを迎え入れる。
     その後もメグさんと共に来店した千代子さんにアタックしなんとか連絡先をゲットした俺は、今では試飲をしてほしいと千代子さんと二人きりで会える仲にまで進んだ。まだ付き合えてはいないが、ガードが固い彼女にここまで近づけた己を褒めてやりたい。
    「前回よりも飲みやすく度数は下げてみたんだが、どうだろうか」
    「…うーん、飲みやすくはなったかもですが、結構甘さが出てる気が…?」
    「なるほど、ありがとう」
     千代子さんの感想をメモする。
    「何か飲みたいものは?」
    「うーん、まだ飲んでないものってこれでしたっけ?」
    「えっ?」
    「アレキサンダーってどんなお酒ですか?」
    「カカオと生クリームのカクテル、かな」
    「へえ…気になります。それにしようかな」
    「そ、…れは度数が高いからやめた方が良いと思います」
    「でも、お酒の飲み方もわかってきましたし!セーブはしますから!」
    「…わかりました」
     ニヤケを抑えるのに必死だった。

    「ありがとうございます。良い匂い」
    「千代子さんの名前の通りですね。乾杯」
    「もう…乾杯」
     千代子さんに並び、二人で乾杯をする。照れたように乾杯を返す千代子さんに鼓動を速くする。
     俺はミモザ、千代子さんにはお望みの…アレキサンダー。又の名をレディーキラーカクテル。彼女はわかっていないのかもしれないが、一応俺は止めたんだ。
     想像の時は予想以上に早くやってきた。
    「どうして試飲に私を選んだんですか?」
    「それは千代子さんがお酒に慣れていないからですよ。常連さんも欲しいけど、初めての方でも楽しめるバーにしたいから」
    「…お酒、まだまだ勉強不足です…」
     そう。だから止めたんじゃないか。なのに選んだのは千代子さんの方だ。
     俺は勇気を出して千代子さんの手を握る。
    「そんなことはないと思いますよ。一緒にお酒を飲んできたじゃないですか」
    「…ふふ、どうして良太郎さんはそんなに言葉が出てくるんですか?」
     握られた手はそのままに、頬を赤らめて笑う千代子さん。その目はグラスに向かったままだ。
     千代子さんはアルコールを飲むとすぐに顔を赤らめるタイプだ。そして、普段よりも表情が豊かになる。目を閉じてお淑やかに笑う姿が好きだ。笑うと小さく揺れる細い肩とか、サラサラとした黒髪がバーの光を吸収してキラキラとするところとか、俺の言葉に毎回照れるところとか、挙げ出したら止まらないくらい好きだ。好きなんだ。
     でも、いつかは笑う時、その目に俺を映してくれないか。グラスについた水滴に反射した己の顔を見ながら思う。
     笑みを返した俺は、ミモザを飲み込む。
     ーどうして私を選んだんですか?
     千代子さんだから。だから、俺のことも選んでくれ。
    「そろそろお水を飲んだ方がいいでしょう」
     握った手を離し、空になったミモザのグラスを掴む。カクテル言葉は『真心』。
     今宵、最低なことをしようと一瞬でも考えた俺は最低だ。そんなことしたら嫌われてしまうというのに。
     
     ミモザ。黄色のカクテル。名前の由来となったミモザの花言葉は『秘密の恋』。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴💴💴💴💴💴💴💴💴💴💴💴🙏🙏🙏💴💞💞💞💞☺☺☺☺☺☺😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    イソギンチャク

    DOODLE速チョコ短文詰め合わせです。
    一部京チョコ成立表現あります。
    速チョコ席替え

     いつもキャーキャーうるさい担任が、いつも通りキャーキャー席替えしたいと言い出した。教科書を読めば全部頭に入るから授業に出席する理由なんてない。が、席替えとなれば話は別だ。一応簡単にできる『隣になれる』おまじないはあるが、どうせならもっと時間をかけた儀式をしたかった。黒鳥の隣になるんだ。俺もそのくらいしてみせないと、肩を並べられないだろ?


    -・-・-・-


    素晴らしく救われないだけの、恋愛話
    (診断メーカー「140文字で書くお題ったー」より)
    トンデモ異世界の謎パロです

     様々な種類の非科学的能力がうずまくこの世界で、俺が好んで研究していたのは黒魔法だった。義務教育の学生時代は秀才と讃えられた俺だったが、黒魔法だけは皆に受け入れられなかった。もちろん他の魔力にも禁忌とされる術はあるものの、黒魔法だけは存在自体が疎まれることが多い。それでも、俺と同じ道を選んだ奴がいた。黒鳥千代子だ。あいつも頭はおかしいが、確かにあいつの体質的には黒魔法が一番向いている。同じ学校出身とあって、魔学院に進んだ後も黒鳥と交流が続いていた。そして、黒鳥と過ごす時間の分だけ黒鳥への想いも募っていった。のに。
    1830

    recommended works