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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    『病めるときも、健やかなるときも』のジュエリーショップスタッフ視点の君篤

    或る日のこと(今日は君島様がVIPルーム、十一時ご予約ね)
     ここはニューヨーク発祥の高級ジュエリーブランド。芸能人の顧客も多く、セレブリティが来店することも珍しくない。
     少し前に、彼がパートナーがいることを公表したニュースを見た。同僚たちは元アイドルが久しぶりにご来店、しかもお相手まで一緒に来るということで色めきたっていたが、私にとっては他のお客様と同様に接するまでだ。勿論、大切なお客様の喜ばしい出来事は嬉しいが、芸能人だからどうということはない。君島様は以前からの上顧客であり、丁重におもてなしすることには変わりない。そんな私だからこそ、彼の担当に指名されていることを自負している。
    「お待ちしておりました、君島様」
     ぴかぴかに磨かれたブラックの外車から姿を現した君島様は、にっこりと笑顔を返してくれた。相変わらずオーラがある人だと思う。上質なスーツはフランスのメゾンの新作。文字盤にきらめくダイヤモンドが眩しい腕時計は、一千万円は下らない代物だ。職業柄ついお客様の持ち物に目が行ってしまうが、当然そんなことは億尾にも出さない。しっかりとお辞儀をして顔を上げると、そこには艶やかな黒髪が目を惹く、色白で長身の男性が彼の後ろに立っていた。
    (え……モデル?)
     彫りが深く鋭い目つきは威圧感があるが、恐ろしく整った顔立ちに長い手足。君島様の同業者だと言われても頷いてしまう。しかし、今日は彼のパートナーが同席すると伺っていた。
    (ということは、この方が……男性なんだ)
     確か、ニュースではお相手は一般人だと言っていた。私にとっては彼のパートナーが同性だということよりも、こんな綺麗な男性が一般人なことに驚いた。芸能人は見慣れたものだと思っていたが、その中でも目立つのではないか。
    「遠野くん、こちらへ」
    「ん」
     君島様に促されて隣に立ったその人は、私を視界に入れると軽く会釈をしてくれた。その様子を見つめる彼の視線が、あまりにも甘く優しいものだから、なんか、結婚っていいな、と思ってしまった。今まで幸せそうなカップルのお客様を沢山見てきたけれど、こんな気持ちになったのは初めてかもしれない。
     さあ、今日も最高のご提案を。

    「このたびはおめでとうございます」


    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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