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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    篤が君を抱っこしたくなる理由

    nostargia 一人っ子で物心ついた頃には自分の部屋が与えられた遠野に祖母がくれたのが、くまのぬいぐるみだった。茶色くてまあるい瞳に、淡いグレーのふわふわの毛並み。家にいるときはいつでも一緒だった。大事な友達で相棒。ぬいぐるみは遠野の話を何でも聞いてくれた。周りの子どもたちには呆れられるようなことも、静かにうん、うん、と頷いてくれるのだ。遠野はこう見えて几帳面で、ぬいぐるみを丁寧に扱った。汚れるから決して外には連れて行かなかったし、毎日乾いた布で手入れをしていた。ぬいぐるみはいつでも綺麗な毛並みを保っていた。
     寝るときに母と祖母が入れ替わりに部屋に来て、遠野とぬいぐるみの頭を順番に撫でてくれるのが毎晩のお決まりだった。ぬいぐるみを抱いて寝ていると、時折真っ暗だった部屋の隅に光が射し込む。幼い遠野が薄目を開けると、仕事帰りの父がこちらをそっと見つめて安心したような顔を浮かべていた。
     いつしかと一緒に寝ることはなくなっていたが、それでも祖母が与えてくれたぬいぐるみを手放すという選択肢はなく、ずっとベッドの片隅で遠野を見守っていた。今でも実家に帰れば出迎えてくれる存在だ。
    「……アイツに似てんな、お前」
    「え、誰ですか」
     ふと昔のことを思い出したら、目の前のプラチナシルバーの髪の毛と、普段は眼鏡に隠されている丸い瞳にノスタルジーを覚えた。この男はあんな風に柔らかくも大人しくもないのに、ひどく懐かしい心地がするのはそういう訳か。
    「絶対教えてやんねー」
     いつか故郷に連れ帰ったとき、彼に対面したら気づくだろうか。遠野は小さく笑い、腕の中で怪訝な顔をしている君島をもう一度抱きしめて目を閉じた。

    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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