実さに(と言い張る) ――審神者の適性がある。
そう判定が出た時から、この先の人生に選択肢なんてなかった。
両親も審神者で、時間遡行軍との戦いで命を落としたのだと『先生』から聞かされた。受け継いだ貴重なな力を両親の無念を晴らすため、時の政府のために使いなさい、ということだ。
だけどそれは、いつ死ぬかわからない場所へ行かされるのだという現実を突きつけられるのと同義だった。顔も知らない両親も、貴方達が死地に追いやったのではないのか?
真顔が怖いと言われて愛想笑いを浮かべるようになったけれど、楽しいと思えたのは本丸で必要になる調理実習や畑仕事の実習くらいのものだった。
養成所に講師として訪れた先輩の審神者は見目の良い近侍の刀を伴っていて、皆はどの太刀がかっこいいとか、あの刀を顕現させたいとか、きゃあきゃあと騒いでいたものだ。
8136