8月新刊 警視庁管轄、シブヤ署。
煌びやかな喧騒から一歩外れてしまえば景色を変えるそこは、厄介者達の街とされている。
曰く、終わりの街。
曰く、死が交差するセカイ。
あまりいい言われではない街を横目に抜けた先、スクランブル交差点とは正反対に位置するシブヤ署は、そんな街を取り締まる嫌われ者の集まりだ。
「あ、いたいた東雲!」
「んあ?」
一階の、受付横。自販機からコーヒー牛乳のパックを手に取ったところで、どこからか名前を呼ばれているような気がした。気の抜けるような声を出しつつそちらを見れば、軽く手を振りながら警察学校時代の同期だと話していた生活安全課の屋島が近づいてくる。
「おう、どうした……さっき生活安全課、出てったように見えたけど」
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