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    ngoc_36375

    @ngoc36375

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    aoitori5d

    DONEローコラ生存If小話。前作『愛を読む』の続きです。
    いのちの名前 そのとき、世界は一瞬だけ時間を止めたのだと思う。
    「ロー……?」
     くすんだ、癖のある金髪に、命を思わせる赤い瞳。記憶にあるよりもすこし痩せて見える身体。太陽を知らない、不健康そうな蒼白い肌。すべてが懐かしく、すべてが真新しい。この人の声はこんなにも力なく頼りなく聞こえただろうか? あいつは自由だと、ほうっておいてやれと兄に向って啖呵をきったあの声は、こんなにもか細く、稚いものだっただろうか。
    「……そうだよ、ローだ、ローだよコラさん……!」
     柔らかなクッションに埋もれるように支えられて寝台から身を起こしていた、その背に腕をまわす。痩せたように見えたのは事実だろうが、それでも腕が回りきることはない。幼い頃はこの背に負ぶわれて短い旅をした。もう遠い過去の記憶のなかの父より倍ほど広い、逞しく温かい背中。以前より筋肉の衰えはあるものの、広さは変わらない。柔らかな綿のシャツの襟ぐりに顔を埋める。すん、と鼻を蠢かせても、香るのは石鹸の優しい甘さだけだ。かつてこのひとに染み込み、一部となっていたニコチンとタールの面影はどこにもない。
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