Re:袋小路 マユミくんがいなくなる夢。
マユミくんがまっすぐ僕を見て、嫌いだ、飽きたって言う夢。
お前とのやりとりはうんざりだ、そう言って笑って手を振る夢。
覚えてたら苦しくて覚えてなくても苦しくて泣きたいぐらいキミが好きだって裏返しの証明のそれが疎ましくて愛おしい。キミは誰かを嫌いになってもそんな言い方や突き放し方はしないって思ってるけど。
全部全部押し隠してたのに、暴いたのはマユミくんだ。僕の張ってた境界線を破って、押し入って、半端な覚悟で優しくして縋らせて。あの体温を覚えたらもう自分から手放すことなんてできない。
まゆみくん、
僕が毒をこめて呼ぶ度、苦しそうに顔を歪めるキミが。
僕を嫌いって言いかけて飲み込む時、絶対僕の顔を見ないキミが。
僕の手を、縋る指を、引きはがせずに結局掴んでしまうキミが、好きだよ。
いつか僕に好きだって伝えてくれても。もういやだ、うんざりだって悲鳴を上げて突き放して逃げても。どっちでもいいんだ。
これからキミとの関係がどうなろうと、僕が夢を見て魘されて泣いて縋ってるってことに変わりはないんだから。
「ゆめにみるぐらい キミのことがすき」
僕は嘘なんかついてないよ、マユミくん。
「マユミくんの夢を見ると、起きた後すっごく幸せになれるんだ」
今日も僕はキミが好きだから、愛情を裏返して起こりうる最悪を煮詰めたゆめをみる。起きた時キミが苦虫を嚙み潰したような顔をして、それでも僕のそばにいてくれるのを見て、安心できる。
最低な僕にとどめを刺せないままぎこちなく撫でてくれるてのひらが、慰めの手段として降ってくる唇が、きっと他の人には見せない揺れる瞳が、だいきらいで、だいすきだよ。マユミくん。