お題 ソウルメイトお題「ソウルメイト」
おふたりは研究生時代からの仲なんですよね、と担当のライターが言う。ふと隣を見るといつもよりやや口元が綻んでいる男がいる。ええ、と答えるも口の端がやや引き攣る感覚を覚えた。仲の良い同期の『お友達』では、無い。
「はじめて出会った時から亜蝶は完璧でした。」
ライターに答える声の主を、亜蝶は横目で見た。
ライターの質問が終わり、
席から居なくなると亜蝶は口を開いた。
「炎のせいで記憶までいじられたのか?」
亜蝶は、あえてルイの方を向かないでいた。
出会ったときの、燃えさかる札束を見た感想がそれか、と頭の中で呟き、紅茶の水面に映る自身を見た。時間が経った紅茶は少し渋い。
「俺の記憶は確かで、嘘も言っていないはずだが。」
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